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おやすみ ページ27

気がつけばまた朝を迎えていた。

余命、あと0日。

今日の朝日は今までで1番綺麗なように思えた。


誰も居ないはずのところを目指して歩いていたはずなのに、たどり着いたのは人の多い駅方面だった。

「…A、もどろ」
「…」
「なあ、Aってば」

お願いやから、と言う彼の手を振りほどいて私は足を進めた。

大丈夫です、死にません。
あなたを置いて死んだりなんかしません。
死にそうになったら自力で回避してやりますよ!と心の中で言いながら。

朝の駅前は通勤客で賑わっていた。
この中で大人がワンピースで歩いているなんて多分浮いているんだろうけど、仕事や学校へ急いでいるためか、気にするものはいなかった。

なんとなく、信号の前に立った。
目の前の信号は赤だった。

横断歩道で前に立っていた中学生くらいの男の子が通勤を急ぐ大人にぶつかられて倒れてしまう。
そこはもう、横断歩道で反対車線からは車が来ていた。

嗚呼、ここなんだって思った。

周りの人が叫ぶなか、私は人混みを掻い潜り男の子の手を取った。
彼は泣きそうになっていたので、にこ、と笑ってあげた。

「大丈夫だよ」

彼の身体を押してあげる。
それが精一杯だった。

目の前には1台のトラックが迫ってきていた。

怖くはなかった。
ただやっぱり、寂しかったのだ。

さようなら、と心の中で呟いて目を閉じた。

その瞬間だった。

「A!死ぬな!」

彼が、私にそう言ったのだ。

思わず目を開く。
彼は私の手を掴もうと手を伸ばした。
その手を払おうとしたが、私から彼は触れられない、そう思い出した時には私は手を引っ張られていた。





___結果






私は空を見上げていた。
痛くて、熱くて、まわりにはたくさんの人がいた。

だけど

彼の姿はなかった。


「…ゾムさん」


おやすみなさい

×××→←.



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若草 翠 - 素晴らしい作品でした。主人公の感情が痛いくらいに伝わってくる文章の書き方で、スッキリとした終わり方が印象に残っています。これからも頑張ってください! (2022年4月6日 21時) (レス) id: 3991d49295 (このIDを非表示/違反報告)
芽樹。(プロフ) - 神野里彩さん» はじめまして。ご丁寧にありがとうございます。そう言っていただけると私も書いてよかったです…!少しでも心に残る作品になってくだされば私も嬉しいです…!こちらこそ改めて読んでいただきありがとうございます。 (2019年7月29日 2時) (レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
神野里彩 - 初めまして。こんにちは。貴方の作品がオススメに出てきたので読んでみました。普段あまり感動する映画とかで泣かないのですが、最後まで一通り読み終わったら涙が止まりませんでした。芽樹さんとても素晴らしい作品を読ませて頂ありがとうございました。 (2019年7月28日 15時) (レス) id: 1e17a0cebe (このIDを非表示/違反報告)
芽樹。(プロフ) - フラルさん» そう言っていただけて嬉しいです!お読みいただきありがとうございました! (2019年7月12日 8時) (レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
フラル(プロフ) - 評価が1回しか出来ないのが悔しくなるほどとても素晴らしい作品でした!!!どのエンドも感動しました! (2019年7月11日 0時) (レス) id: 8607e8bac4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:芽樹。 | 作成日時:2019年1月7日 23時

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