家族ごっこ (ページ13)

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Ⅲ ページ13

翔side

･･･ん、ん？
さっきからずっと気になってた。

カバンがいつもより重い。

まぁ、いつも荷物が多いから分からなかったけど、、、

あれ？

あ。やばい。

翔「ああぁーーー！おべんとーーー！」

やばいやばい、和のお弁当を持ってきてしまった！

どうしよ、どうしよ、

電話！とりあえず電話しよう。

落ち着け落ち着け、大丈夫だ！

ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

先生「はい、嵐山保育園です」

翔「おはようございます、櫻井和也の父です」

先生「おはようございます、もしかしてお弁当のことですか？」

翔「はい！そうです！すぐ届けに行こうと思うのですが、間に合いますか？」

先生「はい、全然間に合いますよ！まってますね！」

翔「よかったぁー、すみません、ありがとうございます！」

帰ったら和に叱られるなぁ笑

あぁ！社長にも連絡しなきゃ！

♪～ «社長»

社長から！

翔「はい？」

智「翔くん？」

いやいや、俺に電話かけてるんだから、俺が出るでしょ、

翔「どしたんですか？」

智「いやー、今会社なんだけどね、皆が翔くんが俺を迎えに行ったって言ってるから入れ違っちゃったかなーって思ってさぁ～」

翔「あ、忘れてたわ。」

智「え？俺の事忘れてたどこいってんのー？」

翔「社長、ギャルみたいなこと言わないでください、会社着いたら説明するんで、電話切りますね。」

智「あいよー」

急いで車を走らせる

･･･さっき、自然と「和の父です」って言葉がでた。

実際にそうなれているのかは別として、自覚はある。

ていうか、俺がそうなりたいと思っている。

初めはあんまり深く考えずに決めたことだけど
いまは和中心の生活に変わってちっさい事だけど片付けや食生活だってちゃんとするようになった。

生活ともに自分も変わっていった。

必死になって俺は「和の父」を演じている。

今日、それを初めて認められた気がした。

それが、こんなに嬉しいことなんて知らなかったから胸がギューってなって、口角が自然と上がって、

幸せを体感したって感じだった。

新感覚だったけど、この感じが”幸せ”ってことはすぐに気づけた。

和が来て幸せが増えた。

”幸せ”の種類が増えた。