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Aside
「そろそろ帰るか」
「うわ、もうこんな時間!?」
時計を見るとあっという間に7時を過ぎていた
牛沢くんと話していると時間があっという間だな…
「やっぱり夜さみぃよな」
「だね…」
制服のポケットに手を入れて暖をとっている牛沢くん
対して私はいつも冬に巻いているマフラーを忘れてしまって手を擦り合わせて何とか暖をとった
「よかったらこれ。使って。寒いっしょ?」
ふと首元に感じる暖かさ
「これ、う、牛沢くんのマフラーじゃ、!!」
「うん、俺の。女子の方が体冷えやすいしAが体調崩したら心配だし」
クルクルと少し雑に巻かれたマフラー
鼻をくすぐるのは牛沢くんの匂い
ドキドキとうるさくなる鼓動も顔に集まる熱も気づかれたくなくて俯きながらも素直に「ありがとう」と伝えた
「あれ?寒くなさそうじゃん。その顔」
そうやって私の真っ赤な顔をからかってくる牛沢くん
恥ずかしすぎて黙って両手で顔を隠すと、ケラケラと楽しそうに笑った
・
「マフラー、ありがとう」
「おう。じゃまた明日な」
「うん。じゃあね」
電車を降り牛沢くんに手を振り、1人で寒空の下を家まで早足で歩く
それにしても、「二人で」って誘われたの、ドキドキしたなぁ……
冬休みの楽しみが増えて嬉しいけど、牛沢くんと二人きりでイルミネーションだなんて私の心臓持つかな……
・
「キヨくん、話ってなに?」
翌日の昼休み。急にキヨくんに呼び出され二人で話す事になった
「昨日うっしーと帰ったらしいじゃん」
「なんで知って…誰から聞いたの!?」
ニヤニヤと「さぁね」なんて言うキヨくん
どこから情報聞きつけたの!?!?
「最近結構進展してるみたいだけど、どんな感じ?」
真面目な顔に戻り質問をされ、私も真面目に答える
「実はクリスマスの日にイルミネーションに誘われたんだよね。あとはそうだな…最近よく目が合う気がする」
気がするだけだよ?なんて念押しして言うとそれさぁ、と低く呟かれる
「脈アリじゃん」「え」
自分でも分かるくらい顔が真っ赤になる
素直すぎる反応に「いや、まじだって」と言われ益々顔が熱くなる
『脈アリ』だって信じてもいいだろうか………
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作者名:こっぺ | 作成日時:2022年10月4日 14時