【文スト】うずまきの少女は接客上手

27.眩い光よ、いらっしゃいませ ページ30

異能力者とそれ以外

この世界では格差があった

それも当然だ。

世界は力ある者のみが征する

財力、権力、異能力…

金。

それこそ愛などは理想論でしかない。

心こそが強い…などと言う弱者の台詞は極めつけだろう

心がいくら強かろうと何が残る？

如何に相手を支配し、利用し、操るのか…

それこそがこの世界での勝つ方法だ

それをより容易くするものが異能力。

例えばマフィアを例にあげよう

異能力は持たない上、身体は貧弱なマフィア首領と

強大な異能力を持ち、屈強な身体のマフィア首領

その差は言う必要のない程離れている

それを雨芽は理解していた。

姉は異能力を持つ

自分は異能を持たないが頭脳明晰


身分上は名家の娘、なので雨芽の方がいいのかもしれないが雨芽に自身を守ることは不可能と言える

勿論、異能者の気持ちを汲み取ることは出来るはずがなかったのだ



『まぁ…どうでもいいですね…、早く外へ出ないと…』



雨芽は器具をゆっくりと慎重に外すと、自身のナイフを手に取った

そこで気が付いた

雨芽のナイフの下に置いてあった小さなメモの様な物を。

メモは折り畳まれていて見ることは出来ないが人目で水跡があることが分かった



『…ドスさん…』



雨芽は着物の袖にメモを入れると確認することなく、部屋から慣れた手付きで出た

その後は長い廊下が続き、途中幾つかの部屋もあったが出口へと辿り着いた。

重い鉄扉の南京錠は開かない…

そこでふと、雨芽はメモを見ることにした



＿＿雨芽。

元気そうで何よりです

さて、今の貴女が何故このメモを見たか当てましょう…

南京錠ですね？

その南京錠は実は簡単に開けることが出来ます

……貴女に神の加護があらんことを。





それだけだった

だが雨芽の頭脳は狂った様に働き始める



『……メモ、感謝致します。ドスさん』



録画されているであろう防犯カメラに向かい一言

いつもの笑顔よりも温かみのある、人間らしい笑みを残して雨芽は南京錠の隙間にナイフを入れ、くるりと回した

すると南京錠は小さく音をたてて開いた

鉄の重い扉を開く。

薄暗い闇の中にうっすらと眩い光が雨芽を包み込んでいく。



『……ここは…』



雨芽は驚いた様に声をあげた。

そこは雨芽が昔拠点としていたアジトの地下室だったからだ



『何やら昔のことを思い出すと思えば……はぁ、ドスさんも考えるものです…』



雨芽は頭に人差し指を着くと下を向き、はぁと息を吐き出した。

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