【江戸川乱歩】何故か事務員の私が名探偵様に揶揄されている

昨日のコト ページ11

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「Aさん。貴方は実に美しい。是非とも、私と心中をしてくれませんか。」


私が仕事をしている隣で、口説き文句をブツブツ呟いているのは、太宰さん。


「太宰イイ、仕事をせんかアアア！！」


そして、そのすぐ側で、太宰さんに怒りをぶつけているのは、国木田さん。色々とカオスである。私は、太宰さんも国木田さんもスルーし、机の上で駄菓子を広げている乱歩さんの所へ歩み寄った。


「乱歩さん、昨日の件なのですが......」


私は、どうやって芥川が出血をしたのか、其れが未だに分からなかったので、訪ねようとした。


「ん？ 其れって、Aが僕に接物(キス)した事？？」


は？ ......乱歩さんの一言で、探偵社内の時が止まった。否、正確に言えば、空気が凍りついた、だ。


「乱歩さんんん！？」


な、なんて事をカミングアウトしちゃってくれてるんですかッ！！ 全くもっての嘘でしょう！？


「怪しいとは思ってたけど、そうだったンだねェ」


「お、おめでとうございます......？」


皆さんの視線が冷たい......


「否、あの、違いますッ！！ 寸前というか、何というかぁ......兎に角、違うんですよ！！！！」


顔に熱が集まり、アタフタしてしまう。こんなんじゃ、誤魔化しにしか聞こえない......！


「其れはそうと、A。ラムネ無くなったから、ラムネ。買ってきてよ。」


全く皆さんの反応を気にもせず、乱歩さんは平然と云った。完全に乱歩さんに遊ばれてる......。

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