【江戸川乱歩】何故か事務員の私が名探偵様に揶揄されている

揶揄い上手 ページ2

*


「Aさん。この書類をお願いできるか？」


「あ、はい！ 国木田さん！！」


「有難うって......太宰いいいい！ どこに行きやがったッ！？」


武装探偵社の朝は忙しい。書類の山は出来るわ、太宰さんは仕事をサボるわ......因みに、武装探偵社とは、異能力を持つ者の集まりの合法組織である。


でもまぁ、私はなーんの異能力も持たない、ただの事務員何だけどね......それなのに、何で......


「ねぇねぇ〜A〜！ 一緒に事件現場行こうよ〜！」


......来た。私は思わず身構える。何故身構えたか？ だって乱歩さんだもの。いつもの様に、揶揄されるに決まっている！


「えぇっと......私は今から書類の整理をするので......すみません」


断られても乱歩さんは、ニコニコとしている。これが26歳だとはとても思えない。


「僕のお願いだよ？ 断っちゃう訳？」


乱歩さんは椅子を立ち、私の方に歩み寄る。予言しよう、この後私は乱歩さんに揶揄される。


「あ〜そっか！ この前みたいに、デートと勘違いされるのが恥ずかしいの？ Aは僕の事大好きなのにね。嬉しくないの？」


「んなっ......！」


なんて事を言うんだ！？ この探偵は！！ 反論なんて出来なくて、私は黙り込む。


「恥ずかしくなんてありません！ いいですよ、行きましょうか」


「よしっ、そうと決まったらレッツゴー！」


......あれ？ 上手く丸められた気がする。

厭な予感→←探偵社の事務員さん

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す