水を向ける (ページ15)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:73,213 hit

魔法使いページ15

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

卓さんはあれから買い出しから帰ってきた遥輝と拳士、私の三人に病院での結果、手術の事も話してくれた

重い空気が流れる中、私の手料理を食べる

あのうるさい拳士さえ言葉を発しなかった

「美味しかった、ごちそうさま」

『ありがとうございます』

『気をつけて帰ってください』

二人は食べ終わるとすぐに帰っていった

卓さんの事を気づかってだろう

二人だけが残された部屋

『……卓さん、そんな顔しないでください』

『私も悲しくなります…』

なにを言えばいいのか、
なにが正解で不正解なのか分からない

彼にかける言葉がどこにも見当たらない

何をしてあげればいいのか分からない

私には彼を笑顔にさせる魔法も知らない

「Aはさ、こんな俺の事どう思う」

『卓さんは……』

突然、聞かれた難しい質問

何を言おうかとても迷った

今、どんな言葉を選んでも卓さんに、ちゃんと伝わるか分からなかったから

『私にとって卓さんは、優しくて、面白くて、隣にずっといたくなります』

『短い間で私は、卓さんのいい所たくさん知りました』

『…笑った顔が素敵な所』

『だから笑ってください』

「……ふっ…」

え？今、鼻で笑った？

「たくさんのいい所たくさん …」

『…あ』

ダジャレになっていた事に気がついていなかった

卓さんは少し控えめに笑ってくれた

前に見た、少し悲しそうな目をして

『わ、わざとじゃないですからね…』

「うん、分かってるよ」

なんて冷めた顔で言っているが、私の前にいる人は、声を抑えているのに必死の様子

『もう、卓さんそこはもっと笑ってくださいよ』

笑った

「あーあ、A面白過ぎ」

「やっと何かから開放された気分」

「やっぱり、Aは俺を幸せにしてくれる」

┊

┊

今思ったけど呼び捨てだ

その理由は分からないけど、

私の胸はどきどきという言葉が似合う程の状態

卓さん、私、魔法使えました？