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「あ！もしもし？バンさん、夜分遅くにすみません。連絡先をいただいてすぐ頼るのも申し訳ないのですが、あの、ご相談があって。」
「僕は大丈夫だから時間を気にせず少し落ち着いて話してごらん。スンミンがどうかした？」
通話が繋がってすぐ卷し立てた私を宥めるようにゆったりとした口調で話してくれるバンさんの声で幾らか落ち着いた。ふう、と一息吐いてから先程スンミンが不機嫌になってしまったことを伝えた。
「Aさんはさ、きっと自分に向けられる感情に疎いんだね。」
「……？」
スンミンのことを伝えたというのに、返ってきたのは私へのコメント。通話だというのに一言も返せないでいる中、彼は続ける。
「急にこんなこと言われても自分を知るって難しいことだし、よく分からないよね。んー、そうだな。とりあえずAさんは自分にもっと自信を持ったら良いってこと！なんてったって、
「で、でも…」
「はい、それ禁止。大事だから何度でも言うけど、Aさんはもっと自信を持って。謙虚なのは良いことだけど、それが君を肯定してくれるスンミンを否定することに繋がってしまうからね。それは嫌でしょ？」
「……！はい。」
「ふふ、いい返事だね。きっとスンミンはAさんを良い方向に導いてくれそうな気がするよ。Aさんも初日から真剣にスンミンに向き合ってくれてありがとう。そういう誠実なところも君の良いところだよ。」
「あ、ありがとうございます…」
「それじゃあなんでスンミンが不機嫌なのか分かったかな？」
「はい、バンさんのおかげです。すみません、こんな夜分遅くに。」
「もう、気にしないでって言ってるのに。解決したならよかったよ。また何かあったら遠慮なく相談して。」
それからお互いにおやすみ、と挨拶し通話を終えた。
自己肯定感が低いあまり、何気なく発した言葉が、私を選んでくれた彼への否定になっていたとは。謙虚も過ぎれば傲慢になる、という言葉があるが私は正にそれだったようで。
強がってスンミンくんに社畜である自分を嘲りながら話したものの、これがいけなかったのだ。彼はその姿を見て私を選んでくれたというのに。
ドライヤーを手に取りながらリビングに戻ってからのことを考えた。彼は起きているだろうか。
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作者名：not found | 作成日時：2024年3月15日 2時
