ノスタルジック (ページ31)

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見上げるほどの大きさの水槽。

どこまでも続いているかのようなその広い水の中を、たくさんの模様や形をした魚たちがのびのび泳いでいる。

いいなあ、気楽で。悩みなんてないんだろうな、羨ましいな。

そんなくだらないことを、目の前を泳ぐ魚を見つめながら思っていると、

「いいよな、こいつら悩みなんてなさそう。」

「ぶっ」

思っていたことは同じだったようで、優吾も羨ましそうに水槽を眺めていた。

思わず吹き出して、私も口を開く。

「全くおんなじこと思ってた笑」

「うそ笑やばいね、水族館の魚みて大の大人が羨ましいって」

「ね、面白いね笑」

ああ、また思ってしまった。

この会話だって、この私達の雰囲気だって、お互いを見る表情だって。全部全部、端から見たらカップルに見えてしまうんじゃないか、なんて。

甘い、甘すぎる。

優吾が私を見つめるその目も、話し方も、表情も、ぜんぶ。こんなの初めてで、戸惑っている自分がいる。

「ね、あっちも行こう！」

久しくときめきなんて感じていなかったものだから、もう全部に惚れてしまいそう。

ほんと、免疫なさすぎるって感じ。

必死に話をそらして、自分を保った。

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