ノスタルジック (ページ28)

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「よろしくお願いしまーす…」

「あれ、降りてくるの早かったねえ」

久しぶりに見た優吾の車を見つけ、助手席に座った。

ニコニコして柔らかい声で言う。

そのすべてが付き合っていた頃を思い出させる。

その懐かしさにちょっと泣きそうになった。

「なんかこの感じ懐かしいね。」

「ね笑」

「服も髪もお化粧も、全部似合ってるよ。
やっぱり髪切ったから雰囲気とか前と一気に変わったね」

「あ、ありがとう…」

あれ、優吾ってこんな人だったっけ…

信じられないくらいのべた褒め。

付き合っていたころも髪の手入れ頑張っていたけど、何も言ってくれたことなかったのに、なんて。

似合ってる、ともう一度頷きながら言う優吾。

でも、悪い気はしない…からいいか。

どこか引っかかっている自分を誤魔化した。

「じゃ、出発しよっか。」

「はーい、お願いします！」

「あ！忘れてた。これどーぞ。」

好きだったやつ！という言葉と共に渡された、某カフェチェーンのロゴの入ったカップ。

えー！覚えてたんだ！と、本音が漏れる。

大好きなキャラメルフラペチーノ。

久しく飲んでなかったからか、この甘い香りすら懐かしく思えてくる。

「ありがとう！」

「いーえ。じゃあ今日は楽しもう！」

こうして私達の久しぶりのデートは幕を開けた。

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