桜が降る夜は３ (ページ25)

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その途端、京本くんが誰かに電話をかけた。

プルルルと発信音が鳴って、私は訳が分からずに周りを見渡した。…皆も何がなんだか分かっていない。

『もしもし、っ、きょもどした？』

「おい樹。」

スピーカーにしているのか、京本くんのスマホ越しに聞こえる樹の声。息が切れていて、走ってるようだった。

京本くんはなんで樹にかけたの？って疑問よりも、樹の声が聞けただけで、もうそれだけで泣きそうになる。

こんなんで樹のこと忘れられるのかなって思う。どんだけ好きなんだって。

イライラした表情の京本くんは、そのままの声で樹と話し出した。

「ねえ、お前どこいんの？」

『いやちょっとAと色々あってさ、っ、探してんのよ。どこにいるか知ら、…ねえか笑』

え、は？樹が私を探してる？なんで、え？

樹の言葉にニヤッとした京本くんは、そのまま話を続けようとする。夏未たちも始めは驚いていたけど、だんだんと京本くんと同じ何か企むような顔をし始めて。

「ちなみにさ、俺らんとこにAちゃんいるんだけど。」

『はっ！？え、どこ？』

まってまってまって、なんで言おうとしてるの！？私会いたいなんて言ってないんだけど！？

でも皆京本くんの言葉に頷いていて、私の味方はここにはいない。

どうする、逃げる？

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