拾肆 ページ15
Aside
〔最悪の場合、魂ごと抜いて身体だけ貰うってこともできるわ。今の貴女の腕みたいに。〕
《無意識に腕がふらふらと動く。》
〔貴女が私を受け入れるなら、貴女の意思ありで私は動くわ？悪い条件じゃないでしょう？〕
〔正直、気絶でもさせちゃえば暫くの間私の身体なんだけど…。〕
〔どうかしら？〕
『断る。』
〔…あらそう。残念だわ。〕
『？』
《そう言って悪縷が消えた。一瞬、腕が動くようになった。》
《諦めてくれたかと思ったも束の間、両腕に激痛が走る。》
『ッ…！！！』
《腕を切られるような痛みが長く続いている。しかし出血はない。》
〔痛いでしょう？腕は切らないけど…腕の神経の周りを徐々に削っていっているだけよ？〕
《激痛がじわじわと続く。歯を食いしばり、ギリギリと歯軋りが鼓膜に響く。》
〔これでダメなら次は両脚ね？どう？〕
『譲り渡す気、ない。切りたいなら切れ…』
〔あらそう、じゃあ遠慮なく─〕
《切られることを覚悟し、力を入れたその時、》
「A」
『…！？』
《伏黒恵だ。駆け足出来たのか息も少し上がり、汗をかいている。》
《直ぐに木にもたれ掛かるのをやめ、伏黒に向き直る。》
恵「後ろから着いてこなかったから。」
『ごめんなさい』
恵「…熱中症か…？」
『ううん。大丈夫。』
恵「そうか、ほら、行くぞ。」
《伏黒に手を引かれかけたが、白蓮は一度その手を離す。》
《悪縷が何をするか分からなかったからだ。》
《そして悪縷は心の内でひっそりと、伏黒を見つめ笑った。》
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒凛蝶 | 作成日時：2020年11月22日 0時
