17話 回想 ページ22
私が産屋敷についたときには無一郎の意識は
既に戻っていた。しかし、
彼の負った傷と言うのは、私が見たよりもずっと
深かったようだ。
それに加えて_____
精神的なショックが響いてだったのだろう、
彼は心も体も憔悴しきっていた。
傷の治りも遅く、度々高熱を出し唸りを
あげることを繰り返していた。
そしてその日も、
「うぅうわぁぁぁぁっ、や…やめっ…」
無一郎の布団の隣に蹲っていた私は、彼の叫び声で
目を覚ました。
起き上がって見てみると、彼は布団から体を半分ずり
起こした状態で、何かを掴むかのように畳の彼
方へと腕を伸ばし、目を見開いていた。
まるで…
まるであのときのような______
フラッシュバック仕掛けたあの光景を、
思い出してはいけない。だめ。
「無一郎、大丈夫、大丈夫だよ。」
私はそっと彼の背中をさすった。
その後もしばらく言葉ともつかぬ声を上げていたが
暫くして彼はようやく我を取り戻したようだった。
「怖い…」
それは、私の耳にもはっきり届いた。
しかし__
「僕は…俺は…誰だ」
無一郎…？ 彼のまた雰囲気が変わったように思えた
「お前は…」
そこまで言いかけて彼は私の方を見ると、驚いたよう
目を見開き布団から飛び起きた。
「ど、どうしたの？」
彼の目は恐怖と疑心を抱いているようだった。
まさか、
記憶が戻ったのだろうか…。
今か…、今なのか…！そんな…
「…」
しかし、
飛び起きたままの無一郎は何も言葉を発さない。
違う…？
「…、今は寝てください。傷が開きます…」
私は言った…
「う、うん、そうだ…な。」
疑心に満ちた目は変わらず、眉根を寄せて一瞥し
彼はそう答えて身を倒し、そのまま瞳を閉じた。
無一郎も、記憶こそ無いもののあの体験はきっと彼の
中に潜在的に深い傷を残したのだろう。
この先、彼は私を思い出すのか、いやそれ以前に有一
郎や過去の記憶を取り戻せるのかわからない。
けど、彼が笑顔を取り戻すその時まで、
私はそっとそばにいたあと願う。
ただそばに、今はそれしか望まない。
彼の最も近くで、彼の兄との約束のため、
支え力になり、盾となり、彼を守る_______
私の全てを、彼に捧げよう。
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澪(プロフ) - 匿名な鬼殺隊員さん» ありがとうございます！直しておきますm(__)m (2019年10月21日 7時) (
レス) id: 17e86f282f (このIDを非表示/違反報告)
匿名な鬼殺隊員 - 設定キーワードの所の漢字が時任になってますよ〜ただしくは時透だと思います〜 (2019年10月21日 2時) (レス) id: 3f11779d5f (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - むい君ラブさん» むい君ラブさん暖かいコメントありがとうございます！本日更新予定ですので今後ともどうぞよろしくお願いします！！ (2019年10月18日 18時) (レス) id: 17e86f282f (このIDを非表示/違反報告)
むい君ラブ - 面白いです！再新待ってます！！頑張ってください!! (2019年10月17日 22時) (レス) id: 8bf3196fdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：澪 | 作成日時：2019年10月8日 10時
