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三十三話 ページ34

翌日、いつも通り各々が教室で過ごしている時間に校内放送のチャイムが鳴り響いた。

昨日は疲れていた為、よく寝れたが学校に来ると不思議と眠気が湧いてくる。欠伸をしながらスクリーンを眺めていると案の定、魔村さんの顔が映し出された

「皆さん、公認旗印が出ました。」

最近では聞き慣れたこの放送に井伊くん達も豊臣くんの旗印だと確信していた
まぁ、良い波に乗っている豊臣くんなら出すだろうな…

「旗印提出は特進クラスの加藤清正くん。」
「加藤くん⁉︎」

魔村さんの口から出た名前に視線は集まり、どっしりと構えていた加藤くんが顔を上げた

「加藤くんが出した旗印はこちらです。」

クルリと軽く回った加藤くんの横に立てられた旗印には
[3時間以内に豊臣秀吉をケンカで倒す 加藤 清正]
と書かれていた。
想定外の旗印に豊臣くんも動揺しているようで小さく声を漏らした

「加藤は信じなかったんだな、秀吉が強いって話を」
「秀吉が強えぇか弱えぇかなんか関係なかくさ」

上杉くんの問いにそう答えた加藤くんは豊臣くんをじっと睨みつけていた。大根の下ろし方を知らなかった彼とは思えない気迫に思わず息を呑む

「なお、同じ旗印が出ました。合計、56本」
「全部で56本…?」
『これ、武田くんの時と同じ…?』

56というこれまた想定外の数字にクラス全体がザワつく

「またお前の仕業か」
「残念ながら、今回は俺じゃねぇ」
「井伊くんではない…?」
『流石に人脈尽きた?』
「おいA聞こえてんぞ。今回ばっかりは調子に乗った猿に皆、鬱憤がたまってんだろ」

煽るように笑う井伊くん達に視線も寄越さず徳川くんは立ち上がり、武田くんの前に足を止める

「たった56本で、ゴミどもは此処まで騒ぐか」
『うわぁ…』
「…まぁ、56も205も変わらんがなぁ。」

フッと小馬鹿にしたように武田くんを鼻で笑い、教室を出て行った。やっぱり悪人だろあの人


旗印戦は30分後、開始される。今まで呆然としていた豊臣くんも覚悟を決めたように動き出した。
盛り上がる男達とは他所にみやびちゃんと顔を見合わせて豊臣くんを探す為、教室を出た


残り数分で開始、思い詰めたように廊下端の椅子に腰を掛けている豊臣くんに歩み寄る

「秀吉くん、大丈夫ですか?」
『無力かも知れないけど…何か出来ることある?』

声を掛けると先程の暗い顔から一転、私達を安心させる様にいつも通りの人懐っこい笑顔をコチラに向けた

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間取り(プロフ) - 名無しさん» お優しい御心遣いとても嬉しいです…。こえ様へ連絡させていただき、文章の訂正をして頂けましたので名無し様もご確認いただけたらなと思います。間取りは名無し様の為にこれからも更新を頑張りますのでまた何かあればご報告をお願いいたします☺️🙏 (2022年9月22日 23時) (レス) id: 35a743c5e2 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 書き上げる→書き上げられる、ですね。誤字、失礼いたしました。シリーズにつきましては是非ご自分のペースで作品の更新をして貰えれば嬉しいと考えています。これからも応援しています。いつも素敵な作品をありがとうございます。 (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 間取りさん» 勝手ながらご報告することにしました。確かに心配はしましたが、私としては間取りさんがのびのびと素敵な文章を書きあげるように過ごして下されば、それで満足ですので、どうかお気になさらないで下さい。 (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 間取りさん» ご確認して頂きありがとうございます。間取りさんの「どうしようもなく君が好き」シリーズは、しんしんの二次創作の中でとてもお気に入りで、いつも楽しませて貰っている分、間取りさんの知らない所でその素敵な文章が勝手に使われていることに悲しくなってしまったので (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
間取り(プロフ) - 名無しさん» ご報告ありがとうございます!今、該当作品を確認させていただいたんですが確かに私の作品と似ている所が多々見受けられたので一度作者さんとお話しさせていただこうかなと思います。せっかく楽しんで読んでいただいているのにご心配かけて大変申し訳ないです…😭 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 35a743c5e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:間取り | 作成日時:2022年8月7日 1時

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