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三十一話 ページ32

今聞き間違えでなければ徳川くんは家まで送ってやろうと言った?あの遠目から見てもイカついあの乗り物で?

これが武田くんの電動スクーターなら乗ってみたいので喜んで頷いていただろうが徳川くんは…

『いや、ちょっと…大丈夫、かも』
「おい、善意だ。遠慮するな」
『遠慮とかじゃないです…』


彼なりのフレンドリー感を出しているのだろうが口角を上げたまま一歩一歩近付いてくる姿はまさしく鬼。
ジリジリと後ろに下がりつつ様子を伺うが…到底逃げ出せそうにない。

『と、徳川くん‼︎私の家近いから‼︎送ってもらわなくても大丈夫‼︎』
「ふん…そんなに嫌か、俺の愛車に乗るのは」
『え、あ…えっと…』

ここで「はい、そうです。」と言えたらどれだけ楽か…
少し不機嫌そうになった徳川くんにビビりながら思考を巡らせていると下駄箱から見慣れたクラスメイトが出て来た

『あっ‼︎そう‼︎あの‼︎彼と‼︎一緒に、帰る予定だから‼︎』
「彼、だと…?」
『そう、えっと、い、今本くん‼︎』


貴公子のような見た目をした彼に声を掛けるとこちらに視線を寄越したが前に立っている徳川くんを見た途端、ギョッとした顔をして早足で去って行った

『う、裏切り者…』
「ふっ、残念だったな。予定は無くなったみたいだが?」

これでもまだ予定が入っているか?と愉快そうに笑う徳川くんにぐぬぬ…と唇を噛む
今日は大人しく送ってもらうとして、徳川くんに家を知られるのはなんかマズい気がするので少し離れたコンビニで下ろしてもらおうと結論を出す

『わかった…けど、近所のコンビニまでで大丈夫…です』
「近所のコンビニ?」
『買い物したいから‼︎そこまでで‼︎』
「まぁ良い。来い」


満足げに歩く徳川くんの数歩後ろについてあのイカつい乗り物の前で足を止める
ど、どこに乗るんだ…?

『徳川くん、これ…えっと、バイク?どこに乗るの?』
「バイクではない、トライクだ。」
『トライク…』

トライク、全く聞いたことがない。へぇ…と感心したように声を漏らすと更に笑みを深めて慣れたように乗り込んだ

「狭いが俺の後ろに捕まれ」

そう言って少し空いた後ろのスペースを親指で示す徳川くんに覚悟を決める。腹を括れ和倉A‼︎

高い位置にある徳川くんの肩を持ち、腰を掛ける…が出発しない。ガソリン切れた?

『出発…しないの?』
「…肩じゃない。腰に手を置け、お前が思ってるよりもスピードが出る」
『あ、はい。』


大人しく肩から腰へ手を下ろした。

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間取り(プロフ) - 名無しさん» お優しい御心遣いとても嬉しいです…。こえ様へ連絡させていただき、文章の訂正をして頂けましたので名無し様もご確認いただけたらなと思います。間取りは名無し様の為にこれからも更新を頑張りますのでまた何かあればご報告をお願いいたします☺️🙏 (2022年9月22日 23時) (レス) id: 35a743c5e2 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 書き上げる→書き上げられる、ですね。誤字、失礼いたしました。シリーズにつきましては是非ご自分のペースで作品の更新をして貰えれば嬉しいと考えています。これからも応援しています。いつも素敵な作品をありがとうございます。 (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 間取りさん» 勝手ながらご報告することにしました。確かに心配はしましたが、私としては間取りさんがのびのびと素敵な文章を書きあげるように過ごして下されば、それで満足ですので、どうかお気になさらないで下さい。 (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 間取りさん» ご確認して頂きありがとうございます。間取りさんの「どうしようもなく君が好き」シリーズは、しんしんの二次創作の中でとてもお気に入りで、いつも楽しませて貰っている分、間取りさんの知らない所でその素敵な文章が勝手に使われていることに悲しくなってしまったので (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
間取り(プロフ) - 名無しさん» ご報告ありがとうございます!今、該当作品を確認させていただいたんですが確かに私の作品と似ている所が多々見受けられたので一度作者さんとお話しさせていただこうかなと思います。せっかく楽しんで読んでいただいているのにご心配かけて大変申し訳ないです…😭 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 35a743c5e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:間取り | 作成日時:2022年8月7日 1時

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