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マルゲリータとマリナーラしかないピザ屋さん。
土曜日のちょっと遅めのランチでも混んでいて、裏にある大きめの駐車場に車を停め、中で待っていた。
A「夕飯、何がいい?
今日ね、パーティーしたいんだ」
有岡「なんか考えてるんじゃないの?」
A「普通にいくとオムライスだよ。
他に何かない?」
有岡「んー、唐揚げを山盛り食べたい」
A「中学生みたい。
でも、唐揚げは作れる」
有岡「あ、やっぱ唐揚げやめる」
A「え、なんでよ。
そうそう、飲むよね?
ミートソースにしようかと思ったけど、パスタ茹でたらすぐ食べたいしー」
有岡「昼、ピザだから和風でもいいよ」
A「わ、和風?!
もー、料理が苦手なんだって」
有岡「じゃあ、中華」
A「えっ!?」
有岡「なんだよ、自分が聞いてきたんじゃん」
そう言って、ケラケラ笑ってる。
A「ごめん……」
有岡「Aも飲むだろ?
いい事考えた。
餃子は?」
A「え、お母さんの手伝った事しかない。
有岡は作れるの?」
有岡「もちろん作れない。
餃子パーティーで、飲もう」
A「えーー、不安。
でもな、そうだよなー」
オムライスにしとくんだったか。
唐揚げなら自信あったのに。
でも、イヤなんだね、唐揚げは。
有岡の携帯に、順番を告げる電話が入ったので、不安を残したまま車から降りて店内に入った。
そんなに大きくない店内で、カウンターの中に三角屋根の白い窯がすぐに目に入った。
なんだかワクワクしてくる。
二人だし、カウンター席を勧められ、有岡が椅子を引いてくれた事にちょっとビックリした。
目を大きく開け、口角をグイッとあげ「何?」みたいな顔をしている。
A「ありがと」
満足そうに自分も椅子に座り、マルゲリータとマリナーラを一枚ずつ、コーラを二つ注文した。
クリーム色のケースから、発酵した生地を出し、手際よく広げられ、あっという間に窯の中に入っていった。
有岡と無言で目を合わせ、微笑みあう。
そして、あっという間に目の前に運ばれてきた。
有岡「いただきます」
A「いただきます」
偶然重なった声にまた目を合わせ、笑顔のまま、フーフーと一緒に冷ましだした。
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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年6月20日 23時