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有岡「嘘、ごめんって。

  演技じゃないよね?

  ねえ?」






A「演技だって言って泣かれると困るから…」




有岡「ねえ、胸成長してた。

  すげーよ」





A「ねえねえ、男の人って終わったら脱力感で、そんなペラペラ喋らないよね」






有岡「そういう事言っちゃうんだ。

  なんかショック。

  もう、あの頃のAはいないんだな」






A「自分だって。

  一生懸命だった有岡はいないじゃん」






有岡「いや、ここ数年の中じゃ、一番一生懸命だったぜ」






A「有岡の一生懸命も、あの程度か」





有岡「おい、待て。

  まず、大貴だろ。

  それに誰かと比べてるだろ」





腕枕でいたのに、上に乗ってきた。

下から見上げる有岡は、その最中しか見ないから。

なんだか恥かしい。

前髪が浮き、普段見えない眉毛が見える。






A「何人の女の子が、この景色を見てきたんだろ」






急に目の前が霞んで、目尻から冷たいものが落ちた。






有岡「えっ、ちょっと待った。

  ちょ、ちょ、ちょ……」





ベッドのそばに置いてあるティッシュを取り、目尻を拭いてくれた。

肘をシーツにつき、顔の位置が近づいた。

恥かしくて視線をそらした。





有岡「だからさ、そういう事言ったら切りないから。

  昔の話はやめようって言ってるじゃん。

  俺はAが好き、Aも俺が好き。

  多分、俺の方が好きが大きいと思うから、もっと好きになってもらうかんな」






有岡の目を見た。

大きな丸い目には、本当に私しか映っていない。






A「ねえ、キスして」





ニコッて笑った後、私の足と足の間に、片足を入れた。

そして、頭の下と肩の下に腕を入れた。

体重が徐々にかかり、唇が重なった。





暗いせいもあり、目を閉じるのはやめた。

目を開けて、私の唇を食べちゃうんじゃないかっていう位のキスを、見ていた。

気持ちが入ってきて、有岡の後頭部と背中に手を回し、私も夢中でこたえた。






有岡と目があって、ニヤッと笑いあって、有岡は隣に寝ころんだ。





有岡「ダブルベッド、いいだろ?」





A「そうだね。

  小さい頃、どっかの温泉に行った時、私達小さいからって、一つの布団で寝たよね」





有岡「え、そんな事あった?」





A「今みたいに、手をつないでくれたの覚えてない?」





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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年6月20日 23時

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