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有岡「え、そうなの？
初めて聞いた」
A「初めて言ったもん。
いつだったか、覚えてる？」
有岡「え、バレンタインだった気がする。
小学校の低学年」
A「二年生。
好きだったなー」
有岡「え？今は？
今もだろ」
A「ふふっ。
ねえ、あの時も呼び捨てで呼べって言われて。
今と一緒」
あの頃は、本当に好きだった事を思い出して、
自分が、懐かしく、愛おしく思えた。
思わず、有岡の背中に腕を回し、ギュッて抱きついた。
有岡「あっ」
A「ふふっ」
有岡「この前言ってた、正面からってやつ。
こんな感じ？」
A「うん。
さっきまで変な距離感あったけど、有岡とはこの距離感が正解かな」
有岡「そお？」
A「え、違う？」
有岡「俺は、ずっとこんな風に俺の腕の中で抱きしめたかった」
A「なんなのよ、もー」
片手は体に、もう片方の手は頭をつかみ、しばらくすると髪の毛をゆっくり撫で始めた。
髪をなでられてる気持ちよさから、顔を少し横にむけ、目を閉じた。
ほっぺを押し付けると、有岡が喋る声が、より振動となって体中に伝わってくる。
有岡「A、好きだよ」
A「私も、好き」
有岡「追いかけてきて、良かった」
A「逃げてきたのは、嫉妬で苦しかったからだなーって」
有岡「でもさ、ちょっと感謝してる」
A「え、なんで？」
有岡「俺だけを頼りにしてくれると思ったから。
それに、あいつとの思い出はないだろ？」
A「うん、全然ない」
有岡「だから、変に勘ぐったりしなくていいし。
見る物、食べる物すべてを、二人だけで共有できるし、これからもずっと、いっぱいの新しい思い出が作れる」
A「すごい、ヤキモチやき」
撫でてた手が止まり、今度は髪を引っ張った。
ビックリして目を開け、有岡の顔を見上げた。
A「ちょっと、何するのよ」
有岡「自分だって、そうだろ」
A「知らないって。
ねえ、映画、見よっか」
有岡「いや、無理‥‥
そんな胸押し付けといて、無理だろ」
A「え……」
押し付けてたつもりはない胸を、有岡から離した。
そして上目遣いで有岡を見た。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年6月20日 23時
