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47 Yuta ページ47

Yuta




電車で帰ろうとしている。




玉森「お願い。

  今日は、ちゃんと家まで送らせて。

  まあまあ遅くなってるし。

  お願いします……」






口をムニューって変な形にして困ってる。





A「分かった」





仕方なくという顔をしている。

車に着くと、「こっちでいいよ」なんて後部座席のドアを開けようとするから。





玉森「ホント、寝てていいから助手席に座って」




久し振りに助手席のドアを開け、Aの背中を押した。

渋々乗ってくれたけど。

シートベルトをした後





A「なんか音楽流して」




覚えてるか分からないけど、高校一年の誕生日にあげた、ミスチルのCDを流した。

俺も同じのを買ってたから。





車を出し、ほんの数メートルの所で、すでに目をつぶって寝ていた。

カーステレオの音量を少し下げた。

約四年間、助手席のAは、一度も寝た事はなくて。

寝てていいよって言っても、うとうとしながらも、頑張って起きててくれた。

やっぱりフラれたんだよなって実感して。

赤信号で顔を覗き込むと、一粒の涙が、両方の目からツーッて落ちてきた。




泣いてる?




寝てない?






気付かないふりをして、胸がギューッて痛くなりながら家に向かった。










玉森「着いたよ」




一発で目を開け、慌ててシートベルトを外している。





A「裕太くん、ありがとね」





何度も、この上目遣いが可愛いって思って。

何度も、ありがとって言ってくれたね。

言葉にする事が出来なくて、思わず肩をつかみ、キスをしてしまった。





A「やっ」




俺の胸の辺りを押し、怯えている。





A「大貴が見てる……」





大貴って呼んだ。

で、ビックリして正面を見ると、本当に幼馴染が見ていた。

これって、さっきの高校二年の魔法の続き?





玉森「ご、ごめん……」






A「私の連絡先を知らないから、ああやって待ってるしかなくて。

  おばさんとか、お母さんに聞けば、すぐ連絡先なんて分かるのに、変に意地張っちゃって。

  じゃあね、おやすみなさい」




ダッフィーをギュッてつかんだまま車から降りて。

ビックリする事に、幼馴染の首に腕を回し抱きついている。

幼馴染に、手で「行けよ」って合図をされ、仕方なく車を出した。





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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月12日 17時

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