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Yuta
昔みたいな笑顔で接してくれて、ホッとした。
Aは助手席に自分で乗り、お母さんは後部座席に乗った。
Aは、内定をもらえたせいなのか、かなり上機嫌で。
お母さんと、引越先の事を楽しそうに色々話してた。
時々、俺の横顔をじーっと見ながら話しかけてくるのは、昔と変わってない。
玉森「いつ頃引っ越す予定？」
A「んー、部屋が見つかって、すぐ入れればいいけど、もし退去待ちとか完成待ちがあったら困るよね。
研修が、4/1の二週間前から始まるから、その一週間前くらいには引越したいな」
玉森「そっか…」
あと一ヶ月ちょっと。
今日から、一週間から10日くらい向こうに行ってるみたいだし。
そんな俺の気持ちとは裏腹に、すごく楽しそうに
A「ねえ、たまちゃんここに入った」
肩から下げてるバックから、あんな大きなカエルを出している。
先生というより、園児みたいな顔をしている。
A母「あのね、一緒に寝てるのよ。
子供じゃないんだからね」
A「いいじゃん、別に」
大切にしてくれてるんだ。
すごく嬉しい。
成田空港の車寄せに停め、後ろに入れた荷物を出していたら、Aも取りに来た。
お母さんから死角になる場所で、伝えたい事があった。
玉森「あの……内定祝いしたいなって。
帰ってきたら、一日俺に時間くれない？
もうそれで最後にするから」
自分で言ったくせにハッとした。
“最後”って……
A「……うん。
考えとく」
うつむいたまま、そう返事をした。
そして、大きく手を振り、空港の中に入って行った。
・
あの時の俺は、Aに何の不満があったんだ。
今だって、無理して付き合ってくれてるかもしれなくて。
もう二度と会わないと思えば、そんな事も我慢出来るのかもしれない。
だったら、たまちゃんをそんなに可愛がって欲しくないな、なんて矛盾した事を考えてた。
・
働くことになってる園での行事に参加するらしくて。
節分の豆まきのお手伝いと、お遊戯会の道具を作るのを手伝ったみたい。
その間に、家を探して、家族三人で美味しいもの食べたり、運転の練習をしたり、忙しそうにしてた。
“最後”だからなのか、一日おきくらいに教えてくれて、なんだか複雑な気分だった。
・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月12日 17時
