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A「え、でも……」
おごってもらう理由もないから、断ろうとしたけど、強引にそのセットを二つ注文してしまった。
なんだか、付き合ってる頃とは違う、そんな雰囲気だった。
玉森「なんか、ちょっとしっかりしようと思って。
Aには特に……」
A「ちゃんとしてる時は、ちゃんとしてたよ。
あの日以来だね、ちゃんと会うの」
玉森「レジ越しには会ってたけどね。こんな事言っちゃいけないんだけど、会いたかった」
ちゃんと自分の気持ちを伝えてきた。
視線はこっちにないけど。
A「ありがと」
私も会いたかった日があった事は、言えなかった。
そこからは、バイトの話
卒論の話
去年のクリスマスの話をしたら悲しくなってきた。
A「オニオングラタンスープ美味しかった。
ステーキはやっぱりお腹いっぱいになっちゃったし」
美味しかったことを、普通に伝えてしまって。
もっと興奮気味に美味しさを訴えるべきだった。
裕太くんの顔が、寂しそうな顔をしている。
玉森「やっぱり、俺といても面白くないよね」
A「え、そんな事ないよ。
男の子と話したのも、久し振りだし」
玉森「大貴くんと話したりしないの？」
A「え、しないよ。
なんでその名前出てくるの」
玉森「なんとなく。
喧嘩したりしてない？
なんだか、顔色が悪い。」
裕太くんのその能力は、いつもすごいなって思う。
A「え、あ、そお？
あの……初めて人に言うんだけど」
玉森「どうしたの？
なんかあった？」
A「お父さんが、転勤が決まったんだって。
だから、家族三人で住めなくなっちゃって。
私、北海道で一人暮らしが決定しました」
玉森「え？！そうなの？
やっぱりこっちで就職したらいいじゃん。
今からじゃ、間に合わない？」
A「採用試験受ける前に、親に何度も確認されたし。
一人暮らししてみたかったし、いいの、一人で」
玉森「全然、いい感じしない」
A「そうだね、やっぱりちょっとどうしようって思ってる。
でも、こっちで就活し直すって事は、考えてない。
なんか、裕太くんに話せて、良かったって思ってるよ」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月12日 17時
