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お父さんが帰る前に、三人で有岡のバイト先に行ってみた。
三人で飲みに行くのは初めてで、なんだか変な感じ。
有岡に気づかれて、わざわざ挨拶しに来てくれたけど、余計な話はせず仕事をしてた。
視界の隅に見える有岡は、この前みたいに満面の笑顔で。
女のお客さんとのスキンシップがすごいなって思って。
まあ、楽しそうだしね、いいんじゃないの。
父「大ちゃん、大きくなったな」
A「たいして大きくないし、もう22だからね、多少は大人になってるよね」
母「そういう言い方、やめなさいって。
でもさ、お母さんは心配してるのよ」
A「就活？」
母「そう……
なんかやりたい事があるんならいいけどって。
この前、なんか言ってなかった？」
A「え、私？
なんも言ってなかったけど。
でも、ちょっと思ったんだけど」
母「何」
A「有岡、小さい頃ホストになりたいとか言ってなかった？
当時の私は、それが何か分からなかったけど、今のこの仕事見てると、ホストになりたいとか。
おばさんに言えなくて困ってるんじゃない？」
母「え、ホント？
でもああやって女の子とお話しするの上手そうだし、あってるかもね」
父「また勝手な事言うんじゃないって。
男ってのはな、将来の事考えると、不安になって、色々悩むもんなんだよ」
A「ふーん、そうなのかな。
有岡は、そんな感じしないけど。
まあ、家で引きこもってるわけじゃないし、いいんじゃない、居酒屋のバイトで」
有岡の動きが、どうしても目に入るから。
この前、変な事言ってたなって思い出していた。
手紙の返事を貰えてなくて、
「俺、そのせいで前に進めてないのかも」
とか
「あんなやつと別れて、俺と付き合えよ」
とか
「女断ちしたら、付き合ってくれる？」
とか…‥‥
やっぱり、ホストに向いてるんじゃないかって思ってしまった。
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お父さんはお盆休みが終わり、札幌に戻ってしまって。
出来たら、同じ便に乗りたかったのに、帰省ラッシュで席が空いてなくて。
三日後にお母さんと二人で新千歳空港に向かった。
お父さんが半休をとっててくれて、車で空港まで迎えに来てくれて。
久し振りに感じる開放感に、なんだかワクワクしていた。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月12日 17時
