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39 Daiki ページ39

Daiki





A「そんな事ないでしょ?

  明後日、入社式なんだし。

  そこに可愛い女の子がいるかもよ!」





カチンときた。





頭の中で「カチン」という乾いた木同士をぶつけたような音がした。

頭にきて、思わず舌打ちをしてしまった。






A「あ、もしかして怒ってる?」





そんな真ん丸の目で覗き込まれたら、少し許してしまう自分がいる。





有岡「つーかさ、なんで俺がはるばる北海道まで来てると思ってんの。

  分かってるよね?」






A「やっぱり、そうだよね。

  たまにふと思うの。

  好きって言われても、またいつか別れようって言われるんじゃないかって」






有岡「そりゃー、いつかは分かんねえけど、今は好きって言ったじゃん。

  お隣さんのおじさんのお手伝いプラス、大切な人のお父さんだと思って手伝ったんだからな」






A「ごめん…」





有岡「いや、ごめん。

  俺の気持ちを押し付けるのは良くねえな。

  忘れて」










しばし沈黙があった。

Aは窓の外を見ている。

まっすぐ伸びる道に、何もない風景。






有岡「こんな道、好きだって言ってたよな、昔」






A「え、私も今それ思い出してた。

  有岡、覚えてるかなって」






有岡「覚えてるよ」






A「そ……

  あ、あのさー、有岡の誕生日もうすぐじゃん」





有岡「あぁ」






A「15日ね、火曜日なの。

  だから、その前の日曜日にお祝いしたいんだけど、いい?」






有岡「何?パーティーしてくれるの?」






A「ささやかですが。

  で、プレゼント何が欲しい?

  給料日前ってのが微妙だけど、初給料は親に何か買ったりして、すぐなくなっちゃうと思うし。

  まだ、バイト代残ってるから、大丈夫だよ!」





有岡「えー、プレゼントね……」





A「考えてるのは、ネクタイとか?

  新入社員だし、何本あってもいいかなって」





有岡「え、マジで?!

  就活っぽいネクタイしかなくて、つまんねえなって思ってたんだよね」





A「一年目なんだし、そんな派手なのも出来ないだろうけど、一緒に買いに行こうね」





有岡「あ、うん……」





A「美味しいケーキ屋さんも聞いてみよ」





有岡「同期の子と、話したりしてんの」




A「先輩がいない更衣室限定だけどね」

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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月27日 23時

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