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Daiki
A「ふーっ、ふーっ
味みたいんだけど、熱そう」
有岡「少し冷めたら、飲むよ」
A「うん。
じゃあ、またね」
荷物を抱えて、何の躊躇もなく帰ってしまった。
俺も成長したなって感動する。
寝顔を見て、キスがしたいと思ったけど、今はしちゃだめだし。
覆いかぶさりたいって気持ちも、頑張って抑えた。
引き止めたい気持ちも、グッと我慢して、笑顔で見送れた。
今は、誠実な人になりたい。
ただそれだけ。
マグカップを持って、ソファーに座った。
熱いのは、大の苦手だから。
ふーふーと何度も冷ましてから、口に運んだ。
有岡「甘っ」
すでに冷め始めていて、思ったより熱くなかった。
せっかく畳んでくれた毛布を、もぞもぞとかけ、くるまった。
なんだかAの香りがする気がする。
タバコをやめて、五日目。
そんなに苦じゃないのは、連絡先を入手できたから。
テレビでゲームを少しやってから、寝る事にした。
・
Aは翌土曜日は出勤して、日曜日はおじさんのとこに行く事になっている。
二日会わないのは、やっぱつまらないなって思いながら、ベッドの上でゴロゴロしてたら、家のチャイムが鳴った。
もしかして……
インターフォンの画面には、マフラーで口元まで隠しているAが映ってた。
有岡『待って』
ひと言も発しないから、なんだろって思って。
ゆっくりドアを開け、玄関の中に入れた。
A「ごめん、寝てた？」
寝巻みたいな格好だから、そんな事を言われたっぽい。
有岡「起きてた」
A「これね、お弁当作ってみたのね。
一人だけど、ちゃんと野菜もとってね」
紙袋ごと渡された。
中をのぞくと、なんだか色々入っていた。
有岡「え……」
A「スープポットにはお味噌汁入ってるから。
あとね、みかん。
フルーツも食べてね」
有岡「あ、ありがと。
おじさんとこ、送ってく？」
A「ううん、迎えに来るから大丈夫。
またね」
ニコニコってして、あっという間にいなくなった。
しばらく玄関で呆然として、紙袋の中をじっとのぞいた。
ぶるっと寒くなって、部屋に戻る事にした。
ダイニングテーブルに紙袋を置き、中身を一つずつ出してみた。
・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月27日 23時
