16 お父さんからの言葉 ページ16
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父「大ちゃんのお母さんも、いつも心配してた。
だから、どんな生活をしてきたか、おじさんも知ってる。
うちのお母さんも、大ちゃんが隣りに引越すって聞いて、心配で仕方がないみたいで」
有岡「……はい」
父「Aに悪い影響がないようにして欲しい。
保育士になるために、一生懸命やってきたし、うちの大切な一人娘だから。
Aは失恋して気持ちが弱ってると思うから、それにつけこむ事がないように」
A「お父さん、言い過ぎだって」
父「お前も知ってるんだろ。
サッカーをやめてから、バイトばっかりしてて。
無断外泊、女の子を家に連れ込んで泊まらせて。
就活もしないでフラフラしてるし、急に幼馴染を追いかけて北海道に来ちゃうし」
A「別に、私、有岡と付き合うとかないから。
私が呼んだわけじゃないし、どっか遠くに行きたいって気持ちは、私にも分かるから」
有岡「す、すみません。
A……Aちゃんには、迷惑かけませんので」
父「Aの事、好きでって聞いてるけど」
有岡「フラれました。
だけど、諦められないんで。
ここでちゃんと仕事して、俺の事振り向いてもらえるようにしたいです」
お父さんは大きくため息をついた。
父「まず、ちゃんと自立した生活が出来るようにな」
有岡「はい」
父「もう遅いから、戻りなさい」
有岡「はい、お邪魔しました。
失礼します」
深く頭を下げ、チラッと私の事を見てから、玄関に向かった。
慌てて私も玄関についていった。
A「ごめん」
有岡「Aが謝る事じゃないって。
おじさんの気持ちも、よく分かるし。
ごめんな、おやすみ」
A「うん、おやすみなさい」
玄関先で手を振って別れた。
お父さんと二人きりで、なんか気まずい。
・
部屋に戻ると、腕を組んでまたテレビの方を見ていた。
A「お父さん、コーヒーでも飲む？」
父「じゃあ、一杯いただいてから帰ろうかな」
A「うん」
インスタントコーヒーしかないけど、それを入れて、ソファーの前の小さなテーブルの上に出した。
私は、甘いカフェラテを作り、ダイニングテーブルの方に座った。
A「ごめんね」
父「お前が謝る事じゃない」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月27日 23時
