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翌朝、そうお母さんに伝えると、渋い顔になった。




母「傷は?まだ痛む?」





A「うん・・・」





ガーゼをはがされ、傷口を見た。




母「まだ少し腫れてるわね」






お母さん自身も、気持ち悪いっていう理由だけじゃどうかなって思ったのかな。

もう一つちゃんとした理由が欲しかったみたいだ。






黒い糸で縫われてて不気味だし、給食も食べられないし、

帰りの会の、あの事が一番怖くて、さぼりたかった。












平日の昼間は、窓からの景色が静かだ。

秋晴れとはほど遠い、グレーの空。

私の気持ちと一緒の色。

それでも窓を開けてみた。





いつもより湿った風が私の前髪を揺らして、頑張れって言ってくれてるような気分になる。




それから、いつもそうするように、右側を覗き、あいつの家のベランダを見た。

こんなに曇ってるのに、洗濯物がひらひらと揺れていて。

昨日あいつが着ていたシャツが目に入ったとたん、ドキッとして視線を反らした。





再びグレーの空を見上げるとため息が出た。




明日は行けるかな。

休んじゃった事、どう思われてるかな。

傷、キレイに治るかな。






全然いい事考えられなくて、窓を閉めた。




こんな日は時間が経つのが遅い。





ベッドの中で、大切にしている「星の王子さま」を読む事にした。

お父さんが買ってきてくれた本で、「大切なものが見えなくなったら読んでみなさい」って言われたから。




ファンタジーな本かと思いきや、なかなか難しくて、お父さんが言った事も、ちょっと分かってない。




最後まで読んでみたけど、今回の事を当てはめてみても、いい解決策は浮かばなかった。



バラを有岡に見立てたんだけどな。






はーーーっ。





疲れた・・・







そう思いながら目を閉じ、


うちのチャイムの音で起こされた。







母「Aー!先生と葵ちゃんと男の子二人いらしてるわよ」





あっ、先生まで来ちゃったのか。





仕方なく、一階に降りると、リビングには有岡のおばさんまでいた。











先生は昨日の写真の事をお母さんに話し、今後このような事がないように注意しますと宣言し、葵ちゃんは、明日迎えに来てくれると言ってくれた。





母「わざわざ、ありがとうございました」





お母さんが深々と頭を下げる姿に、胸が痛かった。




それに、大切な話をしなかった事を怒られるかとビクビクしてた。






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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年8月29日 23時

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