39 Daiki ページ39
Daiki
Aは、小さく息を吐いた。
もしかしたら、吐いただけじゃなくて、深呼吸をしてたのかもしれない。
たまに、お庭に出る事はあったみたいだけど、久しぶりに外の空気を吸った・・・そんな横顔だった。
A「お父さん、お母さん、お世話になりました」
義母「お役に立てたか心配だけど、順調で何よりよ」
A「うん、うちにも遊びに来てね」
義母「お手伝いが必要なら言いなさいよ。
家事と育児、両方全力でやるのは大変だからさ」
A「分かってるって」
有岡「お世話になりました、ありがとうございます」
義母「あぁ、暑いから、悠ちゃん車に入れてあげて」
そう言って、俺の手にぶら下がってるキャリーを指さした。
エアコンをつけておいた後部座席に、チャイルドシートとして取り付けた。
Aも、その隣に座った。
A「悠ちゃん、おうち帰ろうね」
オッ パイを飲んで機嫌のいい悠ちゃんは、手足をバタバタさせている。
そうそう、帰るタイミングも悠ちゃん次第・・
お腹いっぱいの時がいいいんだって。
最後にもう一度挨拶をして、車を出発させた。
A「すごい荷物だね」
有岡「だって、約二カ月間だし、二人分の荷物だし」
A「そうだけどさ・・」
会話が途切れた気がして、ルームミラーをのぞいた。
Aは、窓から外の景色を見ていた。
何のへんてつもない、市街地の風景。
それでも笑みをこぼし、嬉しそうだった。
悠ちゃんとお散歩する事でも想像してるのか、何か食べたいものでもあるのか、聞いてみたかったけど今はやめといた。
数週間続いた、辛そうな目がなくなって、穏やかな顔をしてたから。
それをそっと盗み見るのが、人を初めて「好き」と認識する時のような、ドキドキワクワクしてたから。
A「ねえ」
シートベルトを引っ張って、運転席と助手席の間の隙間に顔を近づけ、小さな声で呼ばれた。
進行方向を向いたまま
有岡「ん？」
A「悠ちゃん、寝ちゃった」
有岡「そっか」
A「退院の時も寝てなかったっけ。
大貴の運転、心地いいのかもね」
有岡「気を付けてるぜ、ちゃんと。
で、Aはどうなの？俺の運転」
ちょっと意地悪をしたくなって、そんな質問をしてみた。
A「え？何、今更」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 552人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やまぱん
| 作成日時：2018年5月14日 22時
