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授乳が始まると、かなり体力を使うけど。
まだ普通食じゃないし、もりもりは食べられない。
それでも絶食を体験したので、有難く頂くことにする。
そういえば、大貴は･･･
LINEの返信もないし、病室にもいなかった。
ちょっと心配になったけど、ゆっくりもしてもらいたいし、とりあえずお昼ご飯を食べて、過ごすことにした。
午後は、看護師さんが洗髪をしてくれるというので、かなり嬉しくて。
ベッドサイドに、カートみたいなワゴンみたいな洗髪機が運ばれた。
窓側の人から始まって、やっと私の番になった。
桃ちゃんを産んだ日、暑い中ウオーキングをしたまんまだから、ホントに洗いたかった。
美容院のように、顔にガーゼをかけられ、頭にお湯がかかった。
シャンプーが泡立たないのが分かって、看護師さん・・・ごめんねって思って。
看護師さんの仕事、ホントに大変だなって思える。
看護師「もう一回洗いますね」
A「すみません・・」
申し訳ない気持ちでいっぱいでいると、「こんにちは」って顔の上で声が聞こえた。
んん？
って思った瞬間、聞き覚えのある「こんにちは」と同時に顔の上のガーゼがひらりと持ち上げられた。
気持ちよくて目をつぶっていたのに、ビックリして目を開けると、右耳の上の辺りの髪の毛がピョンって跳ねた、大貴だった。
有岡「ご、ご、ごめん！
寝坊です！」
ずっと昔の習慣が、たまに出ちゃうんだね、敬語・・・
私の顔の真上から覗き込んで、今にも泣きそう。
A「別にいいんだよ。
今、髪の毛洗ってもらってるから、待ってて」
有岡「え？あっ・・・うん」
ちょっとだけ冷静さを取り戻し、ガーゼを顔の上に戻した。
きっと笑われてるんだろうなと思いながら、またガーゼの下で目を閉じた。
看護師「旦那さん、ホントに有岡さんの事大切にしてますよね」
A「まぁ・・・」
ベッド脇の椅子に座ってる？
ペットボトルの蓋を開けた？
おっ、コーラじゃなさそう・・・
目をつぶっていても、大貴の行動が見えてくる。
看護師「はい、終わりましたよ」
A「あ、あり・・」
有岡「ありがとうございます！
ドライヤーは俺がしますんで」
看護師「では、お願いします」
ベッドの上で、大貴に背中を向けて座った。
久しぶりに、大貴の指が、優しく揺れた。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2018年5月14日 22時
