原田side ページ26
「また迷子になられたらたまったもんじゃねぇからな。逸れないように手繋ぐぞ」
「...えっ!?いや、大丈夫!逸れないようにちゃんとーーー「いいから、ほら!」ーーッ!!」
少し強引に夕奈の右手を掴んで歩き出す
こいつの右手は俺の手の中にすっぽりと収まる
手まで細くて強く握ったら折れちまいそうだ
隣を歩く夕奈を横目で見れば、安心したような顔を浮かべている
それを見て自然と頬が緩む
俺達は手を繋いだまま屯所に向かった
「その歳で迷子になってんじゃねぇよ!!」
「いや、それ私も思ったよ!?思ったけど仕方ないじゃん、方向音痴なんだから!」
「だからっててめぇなぁ!」
「ごめんなさい」
屯所に着くと門の前で他の連中が待っていることに気づいた夕奈は、心なしか嬉しそうな顔をしている
繋いでいた手は屯所に着く少し前に離しちまったから、残念に思った
俺達の姿が見えるなりみんなは駆け寄って来て、土方さんは開口一番で夕奈に説教した
その歳で迷子になるなんざ聞いたこともねぇし始めてみたな
それにしても、一人で買い物に行かせた土方さんも土方さんだぜ、なんて思うが今の彼にそんなことを言ったら俺まで怒られそうだからやめといた
悪りぃな夕奈
心の中で詫びを入れてれば、総司が楽しそうな顔をしながら聞く
「夕奈ちゃん、迷子になって泣かなかった?」
「泣いてない、子供じゃあるまいし」
いや、少し泣きかけてたけどな
可愛かったぜ、あん時の顔
「ふぅん?その割には少し目が潤んでるみたいだけど?」
「っ!?気のせい!!」
「あはははっ!!」
総司は夕奈に顔を近付け見つめる
そんな光景を見て内心穏やかじゃねぇ俺を見透かしたのか、総司は一瞬こっちを見て悪戯な笑みを浮かべた
こいつ、わざとか?
俺は思わず総司を睨みつけちまったが、当の本人は全く気にせず視線を俺から夕奈に戻しやがった
二人のやり取りに他の連中は声を出して笑った
今だけは、仕方ねぇか
随分と俺は心が狭くなったもんだな
そんな自分に苦笑いするしかなかった
そして、夕奈は全員を見て
「心配かけてごめんなさい。ただいま!」
頭を下げて詫びを入れた後、笑顔で言えば俺達は「おかえり」と口々に言った
お前には帰ってくる場所がある
いて当たり前になっちまった奴がその場にいねぇと、全員落ち着かねぇんだ
原田side
 ̄ ̄ ̄ ̄
(叶うなら、俺達の側に...いや、俺の側にいてくれ夕奈)
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ぷー(プロフ) - mizu217(ニイナ)さん» そう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいです!!キャラ崩壊してないかとか色々心配ですが...かっこよく書けててよかったです! (2017年8月25日 12時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
mizu217(ニイナ)(プロフ) - もう、無理です。左之さんかっこよすぎです〜!! (2017年8月25日 4時) (レス) id: 908cde38bf (このIDを非表示/違反報告)
ぷー(プロフ) - Asoraさん» お心遣いありがとうございます。優しさが心に染み渡ります...!これからもこの作品に目を通していただければと思いますので、よろしくお願いします。 (2017年8月24日 8時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
Asora(プロフ) - ぷーさん» いえいえ! こんな事言える立場では無いですが無理はしないでください!何時迄も楽しみに待っていますので! (2017年8月23日 22時) (レス) id: 32969ac174 (このIDを非表示/違反報告)
ぷー(プロフ) - Asoraさん» ご指摘ありがとうございます。全然気付きませんでした...!!また何かありましたら、教えて頂けると嬉しいです。そして、嬉しいコメントありがとうございます。そう言っていただけて本当に嬉しい限りです。これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (2017年8月23日 22時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷー | 作成日時:2017年8月21日 10時