第四十七章 ページ23
「辛い」
「うわ、こりゃひでぇ!これ作ったの総司だろ!」
はじめくんがお浸しを食べた感想を述べると、左之さんも箸で持ちながら感想を口にする
私は少し味が気になって、近くにいたはじめくんの箸を借りてお浸しを少量取り、手に乗せてから食べてみる
と、口に入れた瞬間「ゔっ」と声が漏れる
いやいやいや、何これ食べ物じゃない!
「まっず!!!!」
思った事を素直にそのまま口にすれば、思いの外声が少し大きくなってしまい広間に響く
「夕奈ちゃんまで、なぁに、その言い方?取り敢えず野菜を茹でて醤油に浸すところまでは僕がやったけど。別に不味くないと思うけどなぁ」
「ん?斎藤、どうした?」
総司は言いながら箸を進めるが、はじめくんがお浸しが入ったお皿を持ち、無言でスッと立ち上がれば左之さんが不思議な顔をして問いかける
「水洗いして来る。塩分の取りすぎは、健康を損ねる」
それだけ言うと、彼は障子を開けて目的地へと向かっていった
そんなはじめくんを見て左之さんが「俺も」と言いながら立ち上がったかと思うと、土方さんも無言で立ち上がり広間を出て静かに障子を閉めた
そんなみんなの行動に千鶴は驚いたような顔をしながら見ていると、残された総司も「じゃあ僕もちょっとだけ洗ってこようかなぁ」と言ってみんなしてお浸しを洗いに行ってしまった
そんな様子に千鶴は何も言えず固まっていたが、私は耐えきれずに笑い出す
「...ふはっ...あはははっ!!」
「夕奈ちゃん?」
「いやー、あれはほんとに不味かった!みんな洗いに行って正解だよ。ククッ、駄目だ可笑しい!!不味くないと思うって言ってた本人も洗いに行くとか....!!不味いって認めたようなもんじゃん!あははっ」
「わ、笑いすぎじゃ...」
「だってさー、ふふっ、千鶴も可笑しいと思わない?」
「確かに...ふふっ、ちょっと可笑しいかも」
笑い出した私に最初は戸惑っていた千鶴も、おかしくなって来たのか二人して笑いあった
第四十七章
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(小さな事で笑い合える事が、どんなに幸せだろう)
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ぷー(プロフ) - 神崎舞様。気付かず申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。早急に直させていただきます。また何か気付いた点などがございましたら、仰って頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2017年8月18日 11時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎舞(プロフ) - 名前変換されないで夕奈のままになってる話が何話かあるのですが? (2017年8月18日 9時) (レス) id: 348d6ee4b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷー | 作成日時:2017年8月17日 11時