第七章 ページ25
土方さんが立ち上がったのを見て私も立ち上がれば、いつの間に隣に来ていたのか左之さんがいた
長身の左之さんを見上げながら小さく首をかしげる
「お前、それ痛いだろ。今解いてやるーーーってこりゃ強く縛りすぎだろ総司の奴!」
「.....っ」
なるべく優しく解いているのだろうが、手首に痛みが走り思わず顔を歪める
「っし、取れたぜ。わりぃ、大丈夫か?」
「大丈夫です。すみません、ありがとうございます」
「....悪りぃな。女の身体にこんな後つけちまって。相当痛かったろ(こんだけくっきり跡がつくくらい強く縛られてやがったのか...総司の野郎)」
「いえ、これくらい大丈夫です」
縛られていた手首を見ればそりゃもうくっきりと跡が残っている
強く縛られ過ぎて感覚がなくなり始めていた手先に血が一気に通い熱を持つのがわかる
取ってくれた左之さんを見つめてお礼を述べれば、とても申し訳なさそうにしている左之さんと目が合い
やっぱり左之さんは優しいなぁ、なんて思っていれば横から溜息交じりの声が聞こえ、視線をそちらに移す
「.....おい原田。何てめぇは勝手に縄を解いてやがる」
「悪りぃな、土方さん。けど、新選組お預かりってなったのに、いつまでも縛ってちゃあ可哀想だろ?」
「ったく。てめぇは甘いんだよ。行くぞ桐生」
「あ、はいっ」
二人の会話に耳を傾けていれば、不意に土方さんが歩き出し広間を出て行こうとする
それを見て慌てて跡を追おうと左之さんに向かって軽く一礼し、頭を上げてすぐにポンッと左之さんの手が私の頭を撫でる
いくつも豆ができ、広く大きくガッチリとした手が優しく頭の上に置かれている
思わぬ行動に目を見開き左之さんをジッと見つめていると「また後でな、夕奈」とふわりと微笑んで
あぁ、この優しさとこの笑顔に何人の女がやられたんだ
遊佐ボイスやべぇ、まじやべぇ、まじイケボ!!!
破壊力が....!!!
あ゛ーーー!!!!
と考えていたが土方さんの声でハッと我に帰り、左之さんにまた軽く会釈すれば小走りで土方さんの元へ向かった
第七章
 ̄ ̄ ̄
(左之さんは何してても無駄に色気があると実感した)
(夕奈を支えたい、不思議と惹かれちまった)
(原田は少なからずあいつに惹かれてやがる)
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作者名:ぷー | 作成日時:2017年8月11日 20時