女優の私が推しの彼女はじめました 2 (ページ7)

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幸せの矢先ページ7

慎太郎がうちに来て
お掃除を一緒に手伝ってくれていた日。
最近ヒマと時間があれば行き来してる。
慎太郎は撮られたいらしい。
そしたらおおきくウワサが広まるから。
プロ意識はどこに飛んで行ったんだろ。

【A？ずっと携帯なってるけど！】
『そうなの？』
【仕事入ったとか？】
『そんなことある？』
【わかんない】
『えっ？』
【どうした？】
『･････････』
【A？】
『誰からか分からない着信』
【えっ？流れた？】
『そんなことはないと思うんだけど』

意を決して折り返して見た私。

【もしもし！】
『･････････』

声を聞いてすぐに分かった。

【A？】
『なんで？』
【番号変えてなかったんだな･･･俺変えたよ！】
『それは聞いてない･･･なんでかけてくるの？』

心配そうに私を見つめてくる慎太郎。
でもジェスチャーで“俺あっち行ってる”って。
気遣いの塊の優しい人。

【彼女と別れたんだよね】
『へぇ！ずいぶん早かったんだね』
【Aと比べたらすぐ別れたかな】
『そうだね』
【それでさ！】
『ん？』
【俺とより戻すとかない？】
『ない！』
【やっぱり俺にはAしかいないんだよ】
『私って都合のいい女なんだね』
【えっ？】
『私の事振っといて･･･寄り戻したいって！』
【A変わったな！】
『だって･･･もう18歳の私じゃないから！』
【A】
『私たちが別れた日･･･私19歳になったよ』
【そう･･･だっけ？俺･･･誕生日に振った？】

あ。そうだったんだ。
何回も祝ってくれた私の誕生日忘れてたんだね。
何気ない1日に振ったつもりだったんだね。

【ごめん！】
『ごめんじゃないよ』
【A】
『何を企んでるわけ？』
【えっ？】
『別に私じゃなくてもいいんでしょ？何が目的？』
【目的？】
『あるんでしょ？』
【好きって･･･改めて思った】
『ホントに都合よすぎ』
【あのさ】
『また･･･嫌いって思ったら離れるんでしょ？』
【あの人と付き合ってるわけ？】

“あの人”っていうのは多分慎太郎のこと。

『アンタより･･･大好きな人ちゃんといるから！』
【･････････】
『当たり前のように同じペースで歩いてくれて』
【･････････】
『絶対1人ぼっちにしない人と出会えたから』
【でもあきらめたりしないから】

私は持たなくなって電話を切った。

『んっ･･･ううっ･･･ｳﾌｳﾌ』

なんか惨めすぎて泣けてきた。
誕生日なんて忘れてたんじゃん。
私･･･バカみたい。