【2j3j】勘違いされる系Vtuberは気にしない【男主】

不審者の目的　加賀美視点 ページ5

事務所へ用事があり出社した日、玄関前より少し離れた場所に見慣れない人物が立っていた。

スタッフさんかと思い挨拶すると、キョロキョロと周りを見渡し小さく会釈を返された。

なんだか様子がおかしい気がしますね。

さりげなく遠目に不審者候補を視界に入れて監視をすることにした。

『よ、よし』

不審者候補は何やら小さい声で掛け声らしきものを発して事務所の中へと足を運ぶ。

付かず離れずの位置で尾行しながら同じく自分も事務所の中へと入った。

『す、すみません、』

おどおどした様子で受付の女性へと声をかける。

不審者候補は受付の女性と数口会話を交わした後に少ししょげた様子で事務所の外へと出ていった。

あの人、一体なんだったんでしょう。

とりあえず何かしらの危害を与える様子もなかったことだし安心して肩を撫で下ろす。

気になるし受付の人に聞いてみるか？いや、何もしてない人のことを探るなんて真似は失礼にあたるだろう。

自分の中で色々と議論を展開していくが、気になるものは気になる。

結局は自分の中の野次馬が抑えられずにあの不審者候補が一体何をしに来たのかを受付の女性へと聞きにいくことにした。

「さっきの方？なんだか、社長に謝りたいことがあるとかでいらっしゃったのよ」

少し申し訳なさそうに聞きにいくと受付の女性は快く教えてくださる。

あいにく社長は留守にしていたようでさっきの人は会えなかったようだ。

不審者候補は不審者ではなかったらしい、余計な警戒をしてしまったと自分に苦笑いをした。

「あら、さっきの方忘れ物をしちゃってるわ」

連絡先を聞かなかったし今は席を外せないから困ったわあ。

そうぼやいていた受付の人に、自分が届けてきますと声をかけるのにそう時間は要らなかった。

集合時間にはまだ時間があるしさっき不審者扱いをしてしまった罪償いのようなものだ。

自分にそう言い訳をして忘れ物を届けることにした。

出ていったのはついさっきだから今急げばすぐ見つけられるはず。

「本当に助かるわ。お願いねぇ」

朗らかに笑って手を振る受付の女性に手を振りかえし、忘れ物だという可愛らしい白色のハンカチを握りしめた。

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