救い ページ7
・
今思えば、お米も買えないほど困って
いたわけがない。只、私たちが気に入ら
なかっただけのこと。
この飽食な時代に、私たち姉妹はいつも
お腹を空かせていたんだ。
酷く惨めだった。
自分の将来の為に、せめて高校だけは
出ておかないと駄目だと思った。
お金がほしい……
お金さえあれば、こんな家から妹を連
れ出してあげられる。高校になったらバ
イトをしてお金を貯めよう。高校を卒業
すると同時に妹と二人で暮らそう。
真剣にそう思い始めたのは私が中学２
年の冬だった。
塾に行かせてもらう余裕などなかった
から、わからないところは学校の先生に
訊き、どうにか中堅の都立高校に合格す
ることが出来た。
将来の夢なんて何もなかったし、大学
には行かないと決めていた。
とにかくお金を貯めるために高校に通
いながら、少しでも時給が高いバイトを
探した。
そんなある日のことだった。居酒屋で
バイトをしていた私は、仕事が終わり、
店の裏口を出た所で突然男の人に腕を掴
まれた。
”こんばんは、仕事終わったの？”
”あ……はい”
その人の年齢は３０歳くらい。よくう
ちの店に来るお客さんで、料理を運ぶと
いつも、感じ良く話しかけてくれる人だ
った。
”君と話がしたいんだけどダメかな？”
”話……ですか？”
”うん”
”いえ、結構です”
怖くなり、彼の腕を振り払おうとした
時だった。
”毎日毎日、最終までバイトしてるんだ
ってね？店長さんがとっても頑張り屋
だって褒めてたよ”
何が言いたいんだろう？それを言う為
にわざわざ私を引き留めたのだろうか？
”……”
”高校生がそんなに働いて、もしかして
お金に困っているのかなと思って……
違う？”
私を上から下まで舐めるように見た後
『僕、お金あげてもいいよ？』そう言い
いつもの人の良さそうな顔に戻った。
”初めてをくれるなら五万。これからも
会ってくれるなら、その都度二万づつ
払うよ”
その日の夜、私は布団の中で彼が言っ
た言葉を思い出していた。十日働いたの
と同じお金が数時間で手に入るんだ。
それに、会う度に二万くれるなんて……
隣の布団で寝ている、妹の可愛い寝顔
を見つめた。そっと柔らかい頬に触れて
みる。
ヒヨリ……あと少し頑張ろう……
自分に価値を見いだせないでいた私に
とって、妹の存在だけが……
希望であり、たった一つの救いだった。
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siori(プロフ) - れいさん» れいさん、初めまして。フラグの部屋は、R18指定があるので設定が必要な為コミュに登録していないと見られないのです。サイトのルールなので申し訳ないのですが年齢が大丈夫であれば登録すれば読むことは出来ます……。 (2019年9月22日 21時) (
レス) id: 25b2988e99 (このIDを非表示/違反報告)
れい - ※の続きが読みたいです。もし宜しければ見方を教えていただきたいです (2019年9月22日 11時) (レス) id: 1d3b0a592d (このIDを非表示/違反報告)
永瀬なつ(プロフ) - ※の続きの見た方が知りたいです(´･ｪ･`) (2018年12月25日 22時) (レス) id: 579642299a (このIDを非表示/違反報告)
キラみつ(プロフ) - ※の続きの見方教えて頂きたいです！！ (2018年10月18日 19時) (レス) id: 4ba300fb0f (このIDを非表示/違反報告)
m228evanescent8(プロフ) - とても引き込まれる内容で楽しく読ませて頂いてます。※の続きの見方おしえてください！ (2018年10月18日 9時) (レス) id: 834a07e579 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2018年8月17日 12時
