鼓動 ページ22
・
けれどそれは、背中の十字架ではなく
身体中に散らばる小さい傷だった。
そのほとんどは古い傷のように見える。
裕太じゃなかった……
ホッと胸を撫で下ろすとともに、裕太の
ことが気になった。
「気になりますか？」
「え？」
「俺の身体のこと……すみません、最初
に言っておくべきでした」
「ううん、……大丈夫」
「玲さんは……」
「ん？」
「訊かないの？」
「何を？」
「どうしてこんな身体してるのかって」
そう言う裕太の眸は哀し気で、まるで
何もかも諦めたような眸をしていた。
「言わなくていいよ」
「玲さん……」
「裕太、来て」
「風呂は？」
「いいの。気が変わったの、今日は私の
話し相手になってくれない？」
すると裕太は、私の言葉に驚いたような
表情をした。
「え？しないってこと？」
「うん。添い寝してほしいの……」
「添い寝でいいの？」
「いいの」
「わかった……」
彼はベッドに横になり、私の身体を抱き
寄せてくれた。
日ごろから鍛えているんだろう、彼の白
い身体はしなやかで、細く綺麗な筋肉が
付いている。
「何してほしい？腕枕とか？」
「ううん、裕太の心音が聞きたい」
「ふふっ、変な玲さん」
そう言うと、いつものようにふにゃんと
笑ってくれた。やっぱり裕太にはその笑
顔が似合うよ。
彼の大きい手が私の髪を優しく撫で、規
則正しい音に無言で寄り添っていると
「ミツが助けてくれてる」
裕太がぽつりと呟いた。
「え？」
「俺の代わりに、相手してくれてるんだ」
裕太の代わりに？
「……中にはさ、変な客もいるんだよ。
人の身体に傷を付けることで快感を得
るようなヤツが。
俺とミツが部屋に呼ばれて……俺が最
初に相手することになっていたんだけ
ど、俺、途中でパニクっちゃって……
そうしたらミツが、代わるからって。
俺、小さい頃に父親から虐待されてて
さ……思い出したんだよその時の事」
「裕太……」
「ごめんっ、お客様にこんな話して……
何か玲さんには何でも話せる気がしち
ゃって。何となく似てるんだよね、玲
さん……」
「え？誰に？」
「俺が好きだった子に……」
「裕太が好きだった子？」
心臓がドクンと大きく跳ねた。
「うん、顔が似てるとか声が似てるとか
そういうわけじゃなんだけど、何だろ
……背格好とか？ふとした時の表情と
かかな……」
・
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siori(プロフ) - れいさん» れいさん、初めまして。フラグの部屋は、R18指定があるので設定が必要な為コミュに登録していないと見られないのです。サイトのルールなので申し訳ないのですが年齢が大丈夫であれば登録すれば読むことは出来ます……。 (2019年9月22日 21時) (
レス) id: 25b2988e99 (このIDを非表示/違反報告)
れい - ※の続きが読みたいです。もし宜しければ見方を教えていただきたいです (2019年9月22日 11時) (レス) id: 1d3b0a592d (このIDを非表示/違反報告)
永瀬なつ(プロフ) - ※の続きの見た方が知りたいです(´･ｪ･`) (2018年12月25日 22時) (レス) id: 579642299a (このIDを非表示/違反報告)
キラみつ(プロフ) - ※の続きの見方教えて頂きたいです！！ (2018年10月18日 19時) (レス) id: 4ba300fb0f (このIDを非表示/違反報告)
m228evanescent8(プロフ) - とても引き込まれる内容で楽しく読ませて頂いてます。※の続きの見方おしえてください！ (2018年10月18日 9時) (レス) id: 834a07e579 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2018年8月17日 12時
