6.いろいろ大変 ページ6
・
私の会社である中原書房は表参道にあり、二十名ほどの社員とバイトさんと派遣さんがいた。
会社は古いビルだけれど、美術専門出版社ということもありセンスが良い。
レンガ作りの建物の扉を開けて中に入ると、早速二階堂くんが私のところにやって来た。
昨日彼は、外回りをしていてそのまま帰宅した
みたい。
二階堂くんはとても面白くて話しやすい。
今年の新卒は二人だけだし男の人だったから不安だったけれど、彼と話してすぐにホッとしたのを覚えている。
「おっはよ」
「おはよー」
「桐谷さん、昨日藤ヶ谷さんにもらった資料に目を通してみた？」
「うん、一応」
「北山さんて、前はすげえ人気あったみたいだけど、パッタリと表舞台から姿を消してるみたいだね」
確かにそう。私もとても気になっている所。
「藤ヶ谷さんは、説得してみてって言うけど、これ……一筋縄じゃいかないよねえ」
二階堂くんは眉尻を下げて私を見た。やはり彼も困っている感じだ。
「うん。そうだけど仕事だからやらないと」
「来週くらいから始められるように後で打ち合わせしようか？桐谷さんって今日の予定は？」
「うん、今日の午前中は、今度やる美術展に作品を出展してくれないかお願いの電話かけがあるよ。
沢山やらないといけないから、午後からなら多少時間あるかも……二階堂くんはどう？」
「俺は金宮先生のところに原稿の催促。
毎月お願いしてる雑誌の原稿が、もうすぐ締め切りなのにまだなんだよねぇ」
そう、編集者の仕事は凄く大変。
私たちは一人で何人もの作家さんを担当していて、主に雑誌掲載のお願いや美術展への出品依頼なども仕事の一つ。
新しい作家さんの発掘や、企画などは藤ヶ谷さんのような先輩編集者の仕事になっていた。
「じゃあ、戻ってきたら都合のいい時間に声かけあおうか？」
「了解っ」
藤ヶ谷さんが忙しいのは分かるけれど、やっぱり二階堂くんと二人だけなのは気が重い。
新人二人だけなんてダメ元なのかな……と。
そんな気にさえなってくる。
その日、彼が会社に戻ってきたのは午後八時を過ぎた頃だった。
「桐谷さんごめんっ、遅くなっちゃったよ」
「金宮先生どうだった？」
「もう泣きついてお願いしましたよぉー」
二階堂くんは眉尻を下げて苦笑いしている。
大変そう……
金宮先生は現代アートの人で、最近人気が出てきて注目されている一人。かなり気難しいみたいで、二階堂くんは日頃から苦労していた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1222人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お返事遅れてごめんなさーい！また来てくださったなんて感激です！星も嬉しいです。また書道やってほしいですね！ (2021年3月3日 19時) (
レス) id: ad892650f9 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 久しぶりに書道家の北山さんに会いたくなって来ました。いいね☆していなかったみたいでごめんなさい！右☆をポチッとさせて頂きました！ (2021年3月1日 0時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん！お待たせしました！パス付きの方は夜には外せると思います！遅くなってごめんなさい！ (2020年7月5日 16時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - ありがとうございます。明日明後日にはと仰っていたのでずっっと楽しみにしていました！これから読めるのが楽しみです。 (2020年6月5日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お待たせしましたー！2のパスワードを外しましたのでお知らせします。大好きと言って下さり感無量です！涙 (2020年6月5日 1時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：siori
| 作成日時：2016年6月4日 13時
