38.焼肉屋さん ページ38
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駅裏の焼肉屋さんは、週末ということもあり家族連れで混んでいた。
「生ハラミだ……」
「え?」
「いや……生でハラミ見たの二年ぶりくらい」
運ばれてきたハラミを見て感動してる人を私は初めて見た。可笑しすぎる。
「……正直、食い物なんてどうでもいいとか思っていた時もあったから。でも今はめっちゃ食いたいって思うよ」
「良かったですね……焼きましょ!」
そうだよね……
ほら、やっぱり北山さんにお店を選ばせてあげて正解だったでしょ。
私も生きて肉を喰らう北山さんが見たい。
「あ、待って!」
「え?」
「牛タンから焼いていい?」
「……いいですよ」
北山さんはお肉に拘りがあるみたいで、色々と説明しながら焼いてくれた。
「タンはレモンでしょ、ハラミもレモンの方が
絶対に美味いよ食べてみて」
私のお皿の中に美味しそうに焼けたハラミを入れてくれた。全部北山さんが焼いてくれるから私はただ食べるだけ。
「ほんとですね!さっぱりしてていいかも」
「これ、食べごろだから。このくらいの火の通り加減が絶妙なの」
「腕が落ちたかなぁ」なんて言いながら、次々と焼いてお皿に入れてくれた。
「うまーっ!」
北山さんは最初の一口を食べた後、目を閉じて
上を向いてからめっちゃ笑顔になった。
北山さんの意外な一面。
若い男性だからお肉が好きなのは分かるけれど、美味しいものを美味しく食べさせてあげたいって、本来の彼はサービス精神が旺盛な人な
んだと思う。
「北山さん、ビール空いてますけど飲みます?」
「桐谷さんは?」
「飲もうかな」
「じゃあ俺も。すみませーん、ビール二本追加でお願いします」
なんだか今日の北山さんはいつもの北山さんじゃないみたい。私がもし、今までの彼を知らなかったとしたら、引きこもっているなんて言われても信じられないだろう。
酒の力を借りるわけじゃないけれど思い切って聞いてみた。
「北山さん、私たちが出会ったころと比べたら
凄く元気になりましたよね?」
「え?」
「だってこうして外食だってできるし、女性が苦手っていっても私とこんなに話せますよ?」
「桐谷さんと出会う前の約二年間、人と話すことなんてなかったからさ……桐谷さんと出会って少しづつ元気になってきたのは事実だよ。っていうか巻き込み事故にあった気分」
そう言うと、私を見て北山さんは柔らかく笑った。
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siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お返事遅れてごめんなさーい!また来てくださったなんて感激です!星も嬉しいです。また書道やってほしいですね! (2021年3月3日 19時) (レス) id: ad892650f9 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 久しぶりに書道家の北山さんに会いたくなって来ました。いいね☆していなかったみたいでごめんなさい!右☆をポチッとさせて頂きました! (2021年3月1日 0時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん!お待たせしました!パス付きの方は夜には外せると思います!遅くなってごめんなさい! (2020年7月5日 16時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - ありがとうございます。明日明後日にはと仰っていたのでずっっと楽しみにしていました!これから読めるのが楽しみです。 (2020年6月5日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お待たせしましたー!2のパスワードを外しましたのでお知らせします。大好きと言って下さり感無量です!涙 (2020年6月5日 1時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2016年6月4日 13時