32.夜道で ページ32
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何だか疲れたな……
今日は色んなことがあったせいで飲みたい気分だった。私は駅前のコンビニに寄り、ビールを買い込み家への道をとぼとぼと歩いていた。
夜が早い高級住宅街。この辺りは既に人通りも車通りも殆どなくて、ひっそりと夜の闇に沈んでいた。
ん?
足音?
やだっ、後ろから誰かにつけられている……?
タッタッタ
私は怖くなり走り出した。
タッタッタッタッタッタッタッタッ
やだっ、すごい勢いで足音が追いかけてくる!逃げる途中で一度だけ振り返ると、迫りくる黒い影が視界に入った。
え?痴漢っ……!?
更に全速力で走ろうとした時だ。後ろから腕を捕まれた。
「キャー!!痴漢っ!!!」
「ちょっ、違うって!」
え?この声っ?!
「北山さんっ!」
「ごめん、ちょっと驚かせようと思って」
「もうっ、通り魔みたいに近づいてくるのやめてくださいっ!しかもその黒ジャージ!夜は危険ですよっ!闇に紛れて怪しさ倍増ですから!髪の毛もぼっさぼさだし怪しすぎです!だいたい今まで職務質問されないのが不思議だしっ、」
はっ!
また失礼なことを言っちゃった。
「桐谷さんごめんごめん、今回は俺が悪かったよ」
頭を掻いてシュンとしている彼を可愛いと思う。
「ふふふ」
「……え?何?」
「北山さん何してたんですか?」
「コンビニにいたら、桐谷さんが大量にビールを買って出ていくのが見えたんだよ。何?やけ酒?」
……あながちハズレじゃないですよ。
「まあ、そんなところです」
「ふーん」
北山さんの担当を外されたなんて、今言えるわけもなく……二人並んで家まで帰った。
「北山さん、また……」
「はい、またね」
暗い玄関を入るその後姿を見ていたら、出会った時の事を思い出し、急に切なくなって胸がぎゅっと苦しくなった。
思えば、最悪な出会いだった。
北山さん、私が担当を外されたことを知ったらどう思うかな?
またご飯を一緒に食べられる日はあるのだろうか?
一人で飲むより、二人で飲みたかったな……もっともっと北山さんを知りたかった。
ぼんやりとエレベーターが来るのを待ちながら、私はそんなことばかり思っていたんだ。
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siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お返事遅れてごめんなさーい!また来てくださったなんて感激です!星も嬉しいです。また書道やってほしいですね! (2021年3月3日 19時) (レス) id: ad892650f9 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 久しぶりに書道家の北山さんに会いたくなって来ました。いいね☆していなかったみたいでごめんなさい!右☆をポチッとさせて頂きました! (2021年3月1日 0時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん!お待たせしました!パス付きの方は夜には外せると思います!遅くなってごめんなさい! (2020年7月5日 16時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - ありがとうございます。明日明後日にはと仰っていたのでずっっと楽しみにしていました!これから読めるのが楽しみです。 (2020年6月5日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お待たせしましたー!2のパスワードを外しましたのでお知らせします。大好きと言って下さり感無量です!涙 (2020年6月5日 1時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2016年6月4日 13時