4.お化けの正体 ページ4
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やりがいのある仕事なのかもしれないけれど、私なんかに勤まるのかな……
二階堂くんもびっくりしていたし。
その日は残業で遅くなり、コンビニで乾き物とお弁当とビールを買いこむとマンションまで戻ってきた。完全にオヤジの夕飯だよね……
閑静な住宅街の夜は早い。
あれ?
何気なくお化け屋敷に目をやると、門の外灯も部屋の明かりも消えていた。
その時だ……
ガサガサ
ゴソゴソ
えっ……
なっ、なにっ?
お化け屋敷の前。月明かりに照らされてモゾモゾと動いている黒い影のようなものが見える……
「ヒィーッ!おばけっ!」
思わず叫べば、その黒い塊がゆっくりと振り向いた。
「ギャ――!」
「ちょっ、ちょっと待って!」
「イヤですっ、待てませんっ!」
そのお化けは動揺したような声を出すと、一歩づつこちらに近づいて来る。
や、やだこっち来ないで!
「俺、怪しいもんじゃないですわ」
「いやいや、怪しいですよっ」
あれ?……人間だ。
だけど人間の方が怖いこともある。
ボサボサの頭にマスクして、上下黒いジャージって。絶対怪しいよぉ!闇に紛れてますよ!
こんな高級住宅街に、こんな変な汚らしい人いないよね?
「俺、ここの住人です」
ずっと私の反応を見ていたその人は、ため息をついてお化け屋敷を指さした。
は?
「そ、そうなんですか……?」
つい、訝しげに見てしまう。
「風邪ひいたみたいで、駅前のドラッグストアに薬買いに行って、落とした鍵が見つからなくて探してただけですよ。ありましたけど」
その人は、私に鍵を見せるとゴホゴホと咳き込んだ。
「すみません、失礼なこと言いました」
「別にいいです……じゃあ」
ボソッとそう呟くと、軽くお辞儀をしてから家の中へと入って行ってしまった。
あーびっくりした……
きっと門の外灯が切れているんだ。真っ暗だもん。
エントランスを抜け、自分のマンションの敷地内に入った途端にほっとする。
部屋に戻って窓から外を見ると、向かいのお化け屋敷に明かりがついた。
男のひとり暮らしかな?
声は若かったけれど、顔が見えずに何歳くらいの人なのかは分からなかったんだ。
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siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お返事遅れてごめんなさーい!また来てくださったなんて感激です!星も嬉しいです。また書道やってほしいですね! (2021年3月3日 19時) (レス) id: ad892650f9 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 久しぶりに書道家の北山さんに会いたくなって来ました。いいね☆していなかったみたいでごめんなさい!右☆をポチッとさせて頂きました! (2021年3月1日 0時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん!お待たせしました!パス付きの方は夜には外せると思います!遅くなってごめんなさい! (2020年7月5日 16時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - ありがとうございます。明日明後日にはと仰っていたのでずっっと楽しみにしていました!これから読めるのが楽しみです。 (2020年6月5日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お待たせしましたー!2のパスワードを外しましたのでお知らせします。大好きと言って下さり感無量です!涙 (2020年6月5日 1時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2016年6月4日 13時