夜を愛す少女【鬼滅の刃】

抉ラレル ページ34

杏寿郎さんと猗窩座が同時に技を繰り出す。やっぱり強い…私じゃ敵わない。でも、別に私は猗窩座の技を真正面から受けるつもりなんて端からないのだ。

私がいるポジションは、杏寿郎さんと猗窩座の間。私が今から撃つのは、炎の呼吸、玖ノ型 煉獄。狙うのは…猗窩座の右腕ただ一つ。私は呼吸を切り替え構えた。


タイミングを見計らえ、チャンスは一度きり。失敗すれば杏寿郎さんと共に私もお陀仏、成功すれば…いや、

成功させるんだ。


「私にだって…足掻く方法はあるんだ…！！」


地面を蹴り、二人の間へと迫る。日輪刀を構え、大きく呼吸をした。


炎の呼吸、玖ノ型 煉獄


私が振り降ろした日輪刀は猗窩座の右腕を肘から斬り落とし、杏寿郎さんに届くことなく止まる。杏寿郎さんは驚きで大きく目を見開いているが技を止めてはいない、流石だ。あとは邪魔にならないように退くだけ…

急に、ぞわりと全身い鳥肌が立った。直後、脇腹が酷く熱くなる。右側だ、右の脇腹が…熱い


痛い


「〜〜〜〜〜〜〜ッッ！！？？」


余りの熱さにその熱さの元を見ると…そこは、腹があるはずのそこが…

猗窩座の左腕によって、抉られていた。全身から冷や汗が吹き出し、足に力が入らなくなる。ガクンッと膝から崩れ落ち、私はその場に倒れた。だめだ、ここだと杏寿郎さんの邪魔になる。早く場所を移動しなくちゃ…あぁ、でも動けない。痛みが全身に広がって…呼吸を、呼吸で応急処置だ。

ヒュゥヒュゥと痛みで崩れる呼吸をどうにか整え、止血に専念する。抉られた脇腹を中心に血だまりが広がっていく。だめだ、出血が多い。早く止めないと血が足りなくなる…


頭がボーっとし、ほぼ無意識の状態で呼吸をつづける。よし、破れている血管は塞いだ。これでしばらくは大丈夫だろう。はやく移動しなくては…杏寿郎さんの、邪魔になる。なんとか這いつくばって移動しようとすると、頭上から声が聞こえた。


「だから下がっていればよかったんだ。女は弱い、すぐ死ぬ」


猗窩座の言葉に息が詰まり、呼吸が再び乱れた。なんとか深呼吸をして整えたが動揺は収まらない。その言葉は、私の心を抉った。今現在、どうだ？私は杏寿郎さんを守ろうと意気込んで突っ込み、今まさに杏寿郎さんの邪魔をしている。

悔しさから唇を噛み締めていると、頭上から強い怒りの気配を感じた。この気配は…杏寿郎さんだ。


「女は弱い？何を言っているのか分からん！女は強いぞ！…俺の様な男より、強いのだ…女人は」

涙→←鬼ニ…？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す