皆に愛されし少女【鬼滅の刃】

首ノ傷 ページ15

炭治郎が知り合いか！？って顔で見てくるのを無視して鬼舞辻を睨みつける。ってかちょっと鬱憤溜まってるからいいかい？


「…あらぁ？見たことある気もするなぁ…5年くらい前に。老けないねェ…見た目全然変わってないじゃん。それに、喋り方変えた？前は敬語なんて一切使ってなかったのに…ねぇ、鬼舞辻無惨？」

「…鬼舞辻、とはどなたでしょうか」

「あら、知らないの？なら貴方の記憶違いであることが立証されたわ。私が知っているのは鬼舞辻無惨。貴方と全く同じ見た目だったのに…違うのねェ、双子？でも名前も違うのならそんなわけないわよねえ…なぜかしら？」


私は煽る時ほどそれなりに丁寧な口調になるみたいだ。どうする？これ以上会話しているとぼろが出るかもしれないよ？

ニッコリと笑みを浮かべると、鬼舞辻は眼光を鋭くしてすぐ近くを通った夫婦の…夫の方を切り裂いた。ッ…できれば阻止したかったけど、この出来事が無いと炭治郎が珠世さんたちと出会わない。


炭治郎が気付き、その男性を止めようと駆けだす。私もそれについて行こうとすると、奥さんと子供の見えない位置…丁度死角の場所で、鬼舞辻が私の首に手を掛けた。


「ぐッ…！」

「せっかく私が付けた傷を消すとは…。まぁいい、次は捕まえてやる」


ぐりっと喉を強くこすられ息が詰まる。解放された直後、首元を抑えて急き込んだ。くっそ…多分白粉落とされたな…。

「くそが…ッ！」と小さく悪態づいて炭治郎の元へと駆ける。炭治郎が男性を抑え、女性に止血するように指示を出していた。うーん、テンパってる今じゃ難しいだろうな。


「傷を見せてください、手当てします」

「あぁ…夫が…ッ」


呆然としている女性の肩を軽く手当する。…これからはちゃんと手当てするための道具持ち歩こう。止血くらいしかできないや今…

傷口に手拭を押し付け止血していると、炭治郎が鬼舞辻に向かって叫んだ。恐らく鬼舞辻は叫んでる内容なんて聞いていない。たったひとつ…炭治郎の耳についている耳飾り。それだけに意識が向いているはずだ。


騒ぎを聞き付けた警察が炭治郎たちに近付く。奥さんに手拭で傷口を抑えておくように指示して炭治郎の元へと向かった。炭治郎を引き剥がそうとする警察の襟を掴み後ろに引っ張る。


「二人に近付かないでください。…あなた方じゃ何もできない」


二人を背に隠し、ニコニコと笑みを浮かべたまま警察に言った。鬼というものを普通は知らないって…結構面倒だな。

珠世様ト愈史郎→←最悪ナ再会

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