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斬ったと思われた敵は足元が揺らいでなどはいなかった。手にはなぜか血がついた刀。
なぜ。
そのときに初めて気づいた。俺は斬られたんだと。上手く避けたらしいのか傷ができただけで切断はされていなかった。が、腹部からどろりとした真っ赤な鮮血がだらだらと流れ始めていた。
久しく感じていなかった、鉄の匂い。手につく感じも味も妙に懐かしく感じる。...斬られて懐かしいとか思ってる俺は完全におかしいよな。
不思議と痛みは感じない。身体中で心臓が動いているということを感じる。それは恐ろしいほどに周りの音を遮断した。何も聞こえない。聞こえるのは自身の心臓の音。並みならぬ体験に思わずひっ、と情けない声がもれた。
『っ、てぇ...』
掠れたせいで上手く言えない言葉。口に広がった鉄の味から逃げるようにして血を吐き出す。痛みは感じないのに気持ち悪くなってくる。フラッシュバックするのは幼い頃の記憶。思い出さないようにしていたあの日の記憶。
やべぇ。本格的に意識が朦朧としてきてる。早く勝負をつけねぇと...！
しかし刀は重く腕にのしかかる。振るう力すら残っていないのか。霊力でまかなおうと思ってもそれすらもできないほどに身体はボロボロになっていた。
『く、そ...！』
目の前にあの憎たらしい敵がいるというのに。もしも今、傷を負っていなくてこいつを両断してやっていたらすっきりしたんだろうな。
そんな考えとは裏腹に敵は刀を振り上げる。刀は影を帯びていて。その影は俺の頭上にあった。俺は今から完全にやられるのか。
今思えば審神者になろうと思ってからろくなことがなかったな。俺が目指してたものとは程遠かった気がするわ。
なんて回想したいがどうやらその時間すらも与えてくれないらしい。
やっと諦めがついた俺は意識を飛ばすかのようにして目を閉じた。
落ちてくる刀の気配と共になぜか三日月の声が聞こえた気がする。
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ララーサ - なまずさん分かります。見ていてつい笑ってしまいます(笑)頑張ってください。 (2021年1月4日 16時) (
レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
なまず - なんか、主のつっこみが好きですw(更新頑張ってください (2020年3月15日 23時) (レス) id: bd44181088 (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - ゆりぃさん» ありがとうございます！私の趣味の性格を詰め込んだ男主ですが良いと言ってもらえて嬉しいです笑 (2019年12月21日 23時) (レス) id: 5f520ce7f7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりぃ - 読んでいて、神様を大切に(敬っている)している男主さんがいいと思いました！凄くいい作品だな、と私は思います！(笑)これからも更新頑張って下さい！！応援してます！！！ (2019年12月20日 20時) (レス) id: 1568344429 (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 夜月さん» 冒頭は加州様でした。わざわざ誤字の指摘をしてくださってありがとうございます！これからも頑張らせていただきます！ (2019年10月7日 23時) (レス) id: db368979ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まかろん | 作成日時：2019年10月7日 17時
