50通の恋文【萩原研二】

恋文17 ページ22

「ありがとう…！萩原くんが4つも持ってくれたから早く終わった！」

私一人だったもう1往復しないと行けなかったからね。
もう何往復もした後だったからこの1往復がないのはとてもとても楽になった。

「どういたしまして。じゃ、松田待ってるし急ごっか」

うんと私は萩原くんの隣を小走りで行く。

「あのさ…」

「ん？」

「明日……リレーと障害物競走の両方で1位取れたらさ、その……デート…してくれない？」

目をそらしていつもより小声で萩原くんが言う。
私は2回大きく瞬きをした。だって、急な提案でびっくりだもん。デート……。2人で出かけるってこと…？
パッと浮かんだ感情は嫌じゃない。むしろ、ゆっくりお話したりできるのいいな、だ。
じゃあ、返答は――――

「―――いいよ」

するとパッと花が咲くように笑顔になる萩原くん。相変わらず眩しいなぁ…。

「やった！ありがと！……Aちゃんはさ、二人三脚で1位取れたら俺にして欲しいことある？」

ん〜？と悩む。して欲しいこと……。
パッと言おうと思っても案外思いつかないものだ。

「んー？今は出てこないから1位取れて思いついたらお願いする。それでもいい？」

「全然大丈夫。じゃ、お互い頑張りましょうぜ」

うん。と頷いて私と萩原くんは松田くんの元へ行くのだった。
茜色の空はあすの天気が快晴だと知らせてくれてるようで、安心した。

恋文18→←恋文16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す