12、運命の人 ページ14
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「君の言う母親は修道院の院長なんじゃないのかい？」
「その通り。みんなそう呼んでるし、実際本当のお母さんみたいだから。それに私のママ、とっても優しいのよ」
その言葉に嘘はないようだった。
“ママ”と言われる人のことを話している彼女はとても優しい顔をしていた。
きっと温かい愛情に包まれて生きてきたのだろう。この表情を見れば誰だってそう疑わない。
そして彼女は自らを明けらかに語っていく。
「私のいる修道院はね、慈善活動として孤児院も兼ねているの。
私が生まれたばかりの赤ちゃんだった時、修道院の前に置かれていたんだって。
“この子をよろしくお願いします”って、そんな置き手紙も添えられてね。ママと妹たちと暮らしてきたんだ
修道院は18歳になると卒院することができるの。
けれど、ママが妹たちの面倒をもう少し見てほしいって言われてさ…。それからもう2年も経っちゃった」
彼女が窓の外を眺めているうちに、陽は地平線の先へ吸い込まれていった。
観覧車の中が次第に暗くなり、遠く離れた園内の淡い光だけが私達を微かに照らす。
暗がりに吸い込まれた彼女の横顔はまだ目に焼き付いていながらも、先ほどまで彼女の表情ははっきりと見えなかった。
声音がほんの少し寂しく聞こえるだけである。
「ママのことを悪く言うわけではないし、妹たちのことは大好きだし、残ることを決めたのは私なんだけど…。
やっぱり、外に出ていろんなものを見たくなって。そしたら治くんに会ったんだよ」
「そっか、まるで私が君の運命の人みたいだ」
「運命…のひと？」
私の言葉を聞いて彼女が振り返ると、意味がわからないというように首を傾げ、ものの数秒後に暗がりの中でもわかるほど顔を真っ赤にさせた。
いつものように、慌てて咄嗟に否定されるかと思った。
だが今の彼女は何かを言いたげにあたふたとさせているだけで、私の言葉を否定はしようかしまいか、その合間の感情に踊らされている。
見ていて本当に愉快だ。つい吹き出してしまいそうになる。
何を言いたいのだろうか。そう思っていると、彼女は唸ってから小さく声を上げる。
「わっ、わたし…私にとっては…______」
彼女は私から目を逸らして、口をごもごもと動かした。
我ながら察しがいい私は次に並ぶ彼女の言葉を瞬時にわかった気がして、思わずドクン、と鼓動が大きく鳴る。
その瞬間、観覧車の外で遥か遠くの地上から甲高い笛のような音が空気を切り裂いた。
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ラザニア太郎(プロフ) - もちうさぎさん» もちうさぎさん、はじめまして。コメントありがとうございます^ ^可愛いと言っていただけて何よりです！そうですね…！修道服、もといシスターの着ている服を参考にデザインしました。ここで画質が悪いのが残念ですが、Twitterにも掲載しますので宜しければご覧ください (2022年11月11日 17時) (
レス) id: 24908c6af5 (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ(プロフ) - 服が可愛いしシスターって奴だよね！ (2022年11月11日 16時) (レス) @page4 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラザニア太郎 | 作成日時：2022年11月9日 16時
