新人猟犬、修行中！-再編版-【条野採菊】【末広鐵腸】 (ページ8)

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6話ページ8

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「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ！
まさか本当に副長だなんて…！」

「次舐めた口利いたら殺すぞ」

「ひぃっ！」

早速どやされちゃった…。というか、殺されそう…！

必死に頭を下げているのにも関わらず、視線が刃のように痛く刺さっている。凄まじい殺気に空気が重くなり、冗談抜きで殺されるかとさえ思う。

「隊長！此奴の入隊、儂は認められません！
戦いを知らぬ、何処にでもいるような弱っちい小娘でしょう？！」

「うむ…、そう言われてもなぁ…」

燁子さんの強い言葉が更に刺さった。

確かにそうだ。私はさっきまで、ただの女子高校生だった。そんなふうに思われても仕方ないだろう。
だけど、決意ならある。私唯一の力だって________。

「よし！鐵腸、A君の相手をしてやってくれ。
軽い模擬戦で彼女の力を見せてもらおうではないか」

「わかりました」

「A君も、異論はないな」

「…はい！頑張ります！」

これは大チャンス、そう心の中でガッツポーズを決めた。

実力はないかもしれないけど、才能はある筈…！
そうじゃなきゃ何人もの不良を懲らしめてこなかったもの…！

心構えを新たにし、模擬戦へと挑むのだった。

△▼△

外の大きな訓練場。晴天であり、風も少ない。
非常に動きやすい天候だ。

鐵腸さんと私、互いに木刀を持って50メートルほどの間を取りつつ、向き合って構える。

「鐵腸は異能力を使わないこと。あと先手は譲ってやれ！
二人の健闘を祈っておるぞ〜！」

「了解」

「はいっ！」

鐵腸さん、物凄くハンデをつけられてる…。恐らくそれほどの実力の持ち主なんだろう。
かないっこない相手かもしれない。だけど、この条件で一本も取れない可能性は、きっとゼロじゃない！

「いつでも来い」

「なら…最初から全力で行かせていただきます！」

その言葉共に気合を入れた。

意識を集中させるのは一瞬、その次にイメージする。
“もう一人の自分が、鐵腸さんの目の前にいる”ということを。

そして、木刀を振り落とさせる！

「ッ！…成程、だがこれしき…！」

私のコピーができるまで、ほんの数秒。しかしそれよりももっと速く、コピーが消されてしまった。

攻撃は当たらなかった。しかしそれでいい！

「もらったーっ！」

「…！」

コピーが微かなもやと共に消える瞬間。
僅かな隙で全力疾走し、そのもやから私が奇襲をしかける作戦だ。

いける！そう木刀を勢いよく振り上げた。