15話 ページ17
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「こんなヤツやってられっか!」
「やばっ、逃げられるっ!」
男が一人、二人と窓の外から散り散りに逃げ始める。
反射的に体が動く前に、後ろから「鏑木、」と私を呼ぶ声が聞こえた。
「必ず其方に追いつく」
「はい!」
鐵腸さんと考えていることは同じだったらしい。
必ず犯罪者を捕まえる_______。
その心に、恐怖感はもうなかった。
そして私たちは互いに違う方向へ走り出すのだった。
△▼△
「このっ…!逃げ足速いんだから…!!」
私が追っている男は一人。
もう日が暮れた森の中では視界も悪く、地面もぬかるんでいる。
身体強化を経た身体でも、私自信の未熟さ故に惜しくも男に届かない。
そうだ、ここでこそ異能力を…!
イメージする、あの男のすぐ目の前に“もう一人の私がいる”ことを____。
「のわぁッ?!」
「やった!」
私のコピーが朧げに現れると男の顔面に拳を食らわせた。
そのまま男はよろけ、倒れるのが見える。
やった…、私にもできた!やればできるんだ!
感動で思わず笑顔になってしまいそうなのを抑えて、男の方に近寄る。
コピーが男の腕を拘束してくれていた。これも私が望んでいたことである。いい結果に進んで、漸く安堵した。
「…そうだ。鐵腸さんに連絡しといた方が…_______。
______あれ?この無線機、どう使うんだっけ?あれれ…?」
不慣れな無線機で鐵腸さんに現状報告しようと、凡ゆるボタンを押しまくった。
じっと無線機と睨めっこしていた。どうしたものかと、考えてこむ。
それが、どうもいけなかったらしい。
パンッ___________!!
「ひっ?!なっ、何…?
______________いやぁっ?!」
鼓膜を破るような、直近から聞こえた一つの銃声。
突如、存在が察知できなくなった“もう一人の私”。
これら一瞬の出来事が起きたことを理解する前に、私は首に奴の屈強な腕を巻かれ、頭には銃口を突きつけられていた。
「随分余裕かましてくれてるじゃねぇか…!」
「うっ…、ぐぅっ…!」
そんな、なんで…?!捕らえていたはずじゃ…!
動揺の最中コピーがいたはずの方向を見ると、原型もなく淡い光となって宙に舞っているコピーだったものだけがあった。
そして合点がいった。先程の銃声は、私のコピーが頭を撃ち抜かれた時のものだったのだ。
無線機に夢中になっていた隙に、コピーに対する集中力も薄くなっていたかもしれない。
「さっきのパンチ、嬢ちゃんの命で返させてもらおうか!」
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とっふ - わぁ……夢主ちゃん可愛い…最高ですね! (1月3日 17時) (レス) @page2 id: 521a35a539 (このIDを非表示/違反報告)
るぅ - 最高です!続き楽しみにしてます!! (9月21日 20時) (レス) id: 2822ecfe2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラザニア太郎 | 作成日時:2023年3月27日 22時