涙 ページ2
･
『────済まなかった』
あれから少しして、俺は落ち着きを取り戻した。
それと同時に、目が覚めたとでも言えようか。
絞り出した言葉は謝罪の言葉だった。
『ずっと、忘れていた。ようやく思い出した。…済まなかった、ありがとう麦わら』
｢お前が謝んな、悪いのは全部ミンゴのせいだ！お前は何も悪くねェ！それにお礼言われる事もねェよ別に｣
礼の言葉に嫌そうな顔…コイツ。
俺の負担が軽くなるじゃないか。
『ふふ…ふ、お前は2年前と変わらない…お陰で気持ちが和らぐよ』
最後に流れた、涙を拭う。
覚悟は決めた。
アイツに、あの男に"礼"をしなければ。
『…麦わら、あの男に礼がしたい。敵の注意は俺が引く。奴らはまだ俺を味方だと思っている筈だ』
｢いいけどよ、最後にミンゴぶっ飛ばすのおれだからな！｣
『傷だらけのくせによく言う。長刀、お前出血してるだろう、見せてみろ』
｢…本当に戻ったんだろうな｣
『お前を呼ぶ時何て言った？…2年前より隈が酷くなったな』
見なかった内に目の下の隈が成長したな。
医者はこんなものなんだろうか。
長刀に手を翳す。
海楼石の錠には触れない、燃やせればいいのだがそうもいかない。
『"対価"は銃、市民が手にしてる物』
傷口に火が灯る。
が、長刀の傷だけではない。
火は炎麦わら、それと兄さんも包んだ。
｢うわ！え、おれも？！｣
｢……｣
長刀の傷からは鉛玉が出てきた。
誰かが撃ち込んだものだろう、長刀は顔を顰めていた。
『…治せはするが内側の痛みまでは防げないんだ、悪いな』
｢…気にすんな、大した事ねェ…ッ｣
苦しそうだが。当然か、傷は深いんだから。
暫くして火が収まる。
見た目は血だらけでも傷は治せた。
『一先ずこれでいいだろう、動けるな。麦わら、先に行っておけ。あとで合流する』
｢よしわかった！行くぞトラ男！｣
駆け出した麦わら、すぐに土煙の中に消えていった。
…さて。
『…さっきは、ごめん。兄さん』
先程から、静かに見詰めていた兄に向き直る。
冷たい視線ではない、心配そうな、優しい目。
『許して何て言わない。自分でも自分を許す気はないんだ。…だから聞き流してくれていい。
炎も、悪かった。危うく怪我どころじゃ済まなかった。…親父殿に顔向け出来ないな』
途端、炎が口を噤んだ。
親父殿と言った途端に。
…嫌な考えが、頭を過ぎった。
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ツバメ - 頑張って下さい楽しみにしてます (2022年4月21日 12時) (
レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆず招き猫(プロフ) - ツバメさん» ツバメさん、2度目のコメントありがとうございます。頭足らずでちょっと理解が及ばないのですが続きをご所望という事ですね？申し訳ありません、前にも言いましたが執筆中でして…首を長くしてお待ちください。 (2022年4月20日 23時) (レス) id: 58755f093a (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 何度見ても面白いです この続きに似た別の作品とその作品名はもうあるのですか！？ (2022年4月20日 19時) (レス) @page45 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ゆず招き猫(プロフ) - ツバメさん» ツバメさん、コメントありがとうございます。申し訳ありません、ただ今キリのいい所まで執筆中でして…公開までもう暫く首を長くしてお待ち頂ければ幸いです…。 (2022年3月21日 17時) (レス) id: 58755f093a (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 話が面白すぎてもっと続きが見たいです 恋愛に関して疎い彼女マルコとどうくっつのかや麦わらとローとゾウ編気になります (2022年3月21日 5時) (レス) @page45 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず招き猫 | 作成日時：2021年11月15日 17時
