Zの一番長い日 5 ページ8
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「面構えは面白いが長としては未熟だな…これを見よ」
お師匠…賤厳さんはザップさんに通訳させた後、持ってる杖でザップさんの腹をつつきだす。
「儂を師匠と呼ぶこの糞袋が鍛錬のタの字も掠らぬ生ゴミとなり果てとる。まるで浅黒く腐った猛毒の餅じゃ。
忌々しさを固めて人型にして蛇蝎を埋め込んでもここまで不快なものにはなるまい。
節制とは程遠い、自堕落な精神状態で日々を無為に過ごさせとるな?こうなっては目も当てられん。
惨憺たる有様。ものを喰い屁を垂れる分だけ潰された蟲の死骸より厄介じゃ」
「…かわいそ」
『同感、腹痛い』
笑いそうでそれ堪えてマジで腹痛い。
賤厳さんにあんな事言われて自分で通訳しなくちゃならないから仕方なく口にしなきゃいけない…自分の悪口を。
ぶはーーっ、ダメだ草生えるんですけど。
賤厳さん結構面白いのかも…ククッ。
「という事で、こいつは連れて帰る…ってちょ、ちょ待てよジジイ!!じゃなくて師匠ォ!!」
言った傍からドスドスつつかれて頭締め付けられて。
その場のシュールさと言ったらなんという事か。
「シャアシャアッ」
「誰が糞虫だ」
「シャシャシャシャシャアアアッ」
「修行なんてとんでもねえ!!」
「シャアアアシャアアアアッ」
「いや有り難くなんか思わねーよ妖怪!ボロ雑巾!!あだだだだ!!!」
うわあ更にシュール。
握り締めてるところから血が吹き出してるザップさん。
かわいそ。
「まあまあご老体、確かにザップは度し難い人間のクズですが我々にとって欠く事のできない大事なメンバーです」
「サラリとでるよね本心は、言葉に気付かず混じるよね?」
だって正論じゃん。認めなよザップさん。
日々の行いのせいだよこうやって言われるのは。
「どうか、お考え直しを」
「………キシャアシャシャ、シャアシャア」
クラウスさんが頭を下げてお願いすると、賤厳さんは何やら考え込んだ後口を開く。
何か言ってるけどほんとに何言ってるのかさっぱり分からない。
「…え?」
まあ分かるのはザップさんだけで一人納得されたら困る。
「ザップ、通訳しろ」
「…
…わはー。
そんな無茶なあ。
あれキモいんだわまだぎょろぎょろしてて。
賤厳さんって案外鬼なんだね。
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作者名:ゆず招き猫 | 作成日時:2020年5月24日 0時