【2j3j】俺の姫は俺より大人【fw】

Episode44 ページ45

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『はは…、何やってんだろ私』








コートを忘れて飛び出してきちゃったから、すごく寒い。
全部不破くんにぶつけて、自分が惨めすぎて乾いた笑みが漏れる。
こんな彼女嫌われて当然だよね。


さっき見た光景が離れない。
もう別れるしかないんだろうけど、他の子にキスされてたのが嫌で上書きしてしまった。
最後だから、許してほしいなんて。最後なんて信じたくないけど。


嫌いなわけないのに。こんなに大好きなのに。
なんで、こんなことになっちゃったんだろ…








「あれ、お姉さんこんな時間に1人？どうしたの？」








こんな薄着で一人で歩いている女がいれば、そりゃ少し目立つわけで男の人が話しかけて来る。
いつもはこんなの絶対相手にしないのに、今はそんな気力もなかった。
もしかしたら不破くんが、なんて考えちゃう私はバカだ。








「泣いてるじゃん！あー…もしかして彼氏に捨てられちゃった？俺が慰めるよ？」



『っ、』








否定したいけど、その通りで言い返せなかった。
ぐっと肩を引き寄せられて、気持ち悪いのに振り払えなかった。
もういっそ流されてしまった方が、不破くんのこと忘れられるかな。









「俺がこんな可愛い彼女捨てるわけないやろ」



「は？」



「そりゃこっちのセリフやなぁ。気安く触らんといてくれる？さっさと失せてもろて」









涙のせいでよく周りが見えないけど、もっと強い力で肩を引き寄せられた。
見えなくてもそれが大好きな人の声だということは分かって、声をかけた男の人が行ってしまったのも分かった。









「Aちゃん、風邪ひく」









ふわっとジャケットを肩にかけられて、そのまま抱きしめられる。
息が荒くて、心臓の音が聞こえてきて、走って探してくれたのが分かった。
でも期待なんかしちゃいけない。









『離して、』



「やだ」



『離してって！」



「無理やから！」










そう叫んでももっと大きな声が返ってくる。
すごく強い力で痛いくらいに抱きしめられた。










「離したらAちゃんどっか行ってまうやろ…
　お願い、俺から離れて行かんで…」










不破くんも泣きそうで、弱々しい声でそう呟いた。









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