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お人好しでありがとう eml ページ36

「この薬、本当にこんな値段で購入していいのですか?」


母の頭痛薬を買うためになけなしの金をはたいて薬屋へ赴いたが、まさか安値で買えるとは思ってもいなかった。


普段は高額な頭痛薬。喉から手が出るほど必要なもので、身を犠牲にして金を貯めてきた。予想のしていた値段とは違った形で手に入る事に安堵の息を漏らす。


「構いませんよ。今年はこの薬の材料となる薬草が豊富だったんです。ですからこのような値段となっております」


ニコニコとした表情で頭痛薬を包みに入れて私の手に置くエーミールさん。薬屋の店主だ。グラスコードは似合っているが、どこか胡散臭い。


「しかし、その金額を貯めるのは中々大変だったのでは?」


設定された金額のお金を出す為に硬貨を数えていれば、手中を覗き込んで彼はそう言った。
彼の言う通り、この世の中では中々な大金ではある。


「…確かに、自分の身体を犠牲にはしましたが、後悔はしていませんよ。母を少しでも楽にさせる為には私が我慢する必要がありますから」


「__お優しい。ですが貴方まで辛い思いをする必要は無いかと。もう少し早く出逢っていたら、共に働ける事が出来ましたね」


「優しいのはエーミールさんですよ。私って、こう見えて判断力が鈍くて…。今まで働いてきた所も全部、馘になってきました。だからここで働いても何の利益もないですよ」


自傷気味に笑って見せればエーミールさんは悲しそうな表情で見てきた。


「自分を卑下する必要はありません。もっと、自分自身を大切にしてください。…そうだ、これもどうぞ」



そう言ってエーミールさんは新しい包みを差し出した。


「こちら、万能薬です。どんな症状にも効きます。使い方を間違えなければ…ですが」


「そんな高価なもの…!気持ちはとても嬉しいのですが、受け取れません。そちらは、本当に困っている方にあげてください。私はこちらの頭痛薬で、充分です」


「……何処までもお人好しな人だ。私はそんな貴方に、惹かれたのですよ」


「…?とにかく、ありがとうございました!それでは、そろそろ母の元へ向かいますね」


「分かりました。道中お気をつけてお帰りくださいね」







「エーミール、久しぶりやなぁ。頼んでた薬、貰いに来たんやけど」


金髪の高身長な男が暖簾を潜ってきた。怪我や風邪に悩んでいる客とは一風変わった者だった。

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できるニート(プロフ) - 真由さん» ホントですか!そのコメントだけでも励みになります!更新頑張ります (2020年12月25日 12時) (レス) id: ffbcb8a332 (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 初コメ失礼します...!最新話が鬼っほど大好きです...解釈一致が凄いです...ありがとうございます...!!! (2020年12月25日 11時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:できるニート | 作成日時:2019年9月1日 14時

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